〈在日朝鮮人関係資料室〉(2) 解放直後に普及したハングル教本
2013年11月25日 10:59 歴史 資料朝鮮学校の教科書・教材①
当「資料室」には解放直後から90年代までに朝鮮学校で使用されていた、23教科の教科書、副読本、教師用参考書、講義要項など約800点が所蔵されている。今回は解放直後に作られ朝鮮学校で使用された教材について紹介してみたい。
解放直後、生活苦にあえぎながらも在日同胞が優先的に取り組んだ事業は、民族教育であった。教員、教科書、教育施設などあらゆるものが不足するなか、全国に約600~700もの「国語講習所」(名称は様々)が開設された。しかしほとんどの講習所では教材不足が深刻であった。ただ、インテリ青年たちが集まっていた東京の「戸塚ハングル学院」では、開設者の李珍珪先生(元総聯第1副議長)が作成した「ハングル教本」を使用していたという。
このような状況のもと、1945年10月15日に結成された在日本朝鮮人聯盟(朝聯)には、教材の編纂・普及問題を早急に解決することが求められていた。朝聯は結成当初から様々な悪条件を乗り越えながら教材編纂に力を注いでいった。その結果、解散までのわずか4年の間に、朝聯が発行した教材は144種、129万1540部(49年5月まで)にのぼる。「資料室」には、当時作成された教材のうち国語、朝鮮史、地理、社会、算数、理科、音楽、美術、体育の9科目、49種類が保存されている。