〈女性の活力を通して感じた朝鮮の変化㊤〉返せなかった6ドル/北岡裕
2013年11月13日 14:01 共和国平壌ホテルで出会ったナンバーワンバーテンダー
2013年9月に日朝友好京都ネットの一員として約一週間平壌を訪問した。滞在中は昨年11月26日付の朝鮮新報コラムで予告したとおり、女性接待員と朝鮮ポップスを熱唱するとともに、倉田通りの住宅、大同江ビール工場、秋季商品展覧会などを見学する機会に恵まれた。朝鮮で出会った高い誇りを持つ女性バーテンダーと変化する朝鮮の姿、日本の進むべき道についてお伝えしたい。
「オレンジ色の世界」
平壌ホテルの2階、書店の奥にある小さなバー。そこにチェ・ユンジュさんという女性バーテンダーがいる。 彼女は朝鮮一のバーテンダー。全国料理局対抗の飲料部門、カクテルの部で優勝した実績がある。店にはトロフィーが夕日に照らされ光っていた。チュチェ思想塔を訪れて、夕食までの30分くらいの時間。いたずら心がふと湧いた。彼女に「私はアルコールが飲めない。そのうえでひとつ『平壌の夜』というテーマでカクテルを作ってもらえないかな」と声をかけてみた。
「わかりました」と頷き、彼女の目がくりくりっと動いた。同時にいたずらっぽい表情が浮かんだのを見ると、挑発に乗ってくれたようだ。赤いイチゴのシロップをグラスに入れ、砕いた氷とオレンジフレーバーのジュースをシェイクする。無駄な動きがない。