「朝鮮の仏教と名僧」本紙連載が一冊に
2013年11月12日 09:58 文化・歴史朝鮮仏教知る道しるべ

洪南基著 同時代社、1,900円+税。03-3261-3149
仏教は朝鮮文化の根幹であり、人々の生活や思考と密接に結びついている。朝鮮半島の世界遺産を見渡しても、そのほとんどが仏教文化の所産と言っても過言ではあるまい。本書は朝鮮新報文化欄に2011年~2013年まで60回にわたって連載された「朝鮮仏教と私たち」をまとめたもの。連載中から好評だったが、奇しくも、朝鮮仏教史に一大隆盛をもたらした高麗の首都開城が世界遺産に登録された今年、仏教にちなむ書が世に出たのは喜ばしい限りである。
日本の黎明期はもとより、平安、鎌倉、近世にいたるまで絶大な影響を及ぼした朝鮮仏教と歴史に名を残す名僧たち。日本ではとかく、ゆがんだ歴史認識の下で、中国仏教の影響を過大に、朝鮮仏教のそれを過小評価する傾向が強いが、本書を一読すれは、そうした見方がいかに偏っているかを理解できよう。朝鮮半島の豊かな文化、仏教のすばらしさを知るうえで道しるべとなる一冊。(粉)