東京コリアラグビーフェスティバル／朝高強化目指し、ラガーマン集結
2013年05月10日 13:04 スポーツ
ラグビーフェスティバルの参加者たち
「第3回東京コリアラグビーフェスティバル」が4月28日、東京朝鮮中高級学校グラウンドで行われた(主催＝東京中高ラグビー部後援会、東京朝高ラグビー部父母会、在日本朝鮮人ラグビー協会、在日本朝鮮人東京ラグビー協会)。在日本朝鮮人ラグビー協会の金武正会長、在日本朝鮮人東京ラグビー協会の李承益会長、東京中高ラグビー部後援会の金千一会長、申ハンソル幹事長をはじめ、東京のラグビーチームに所属する同胞と日本人のラガーマンたち、学父母など約300人が集まった。同校ラグビー部の強化とラグビーを通じた人々の交流を目的に開催された。
東京中高高級部(青)対目黒学院
「夢をつかみたい」
雲ひとつない快晴の中、幅広い世代の多くのラガーマンがグラウンドで汗を流した。
フェスティバルでは、「ALLOUT INTERNATIONAL」(国籍、経験は問わずラグビー愛好家たちが集まったクラブ)対ぜんかいビアーズ、東京中高中級部対連合チーム(駒東、九段、大泉、小石川中学校)、東京中高高級部対目黒学院、東京朝鮮闘球団「高麗」対マンダラ東京、「高麗Jr.」(都内の朝鮮学校初級部高学年チーム)、練馬ラグビースクール、玉川学園低学年ラグビー部の3チームによる対抗戦がそれぞれ行われた。
試合前には、東京中高を代表して慎吉雄校長が同校高級部、中級部ラグビー部にそれぞれラグビーボールを贈呈した。慎校長は生徒たちに、フェスティバルを開催し、ラグビー部を支援している全ての方々に感謝しながら、同胞たちに力と喜びを与える存在になってもらいたいと激励した。
東京朝高ラグビー部の李潤太主将(高3)は、「ラグビー部OBたちの期待をひしひしと感じている。『全国大会』に出場するという目標は、同時にOBたちの夢である。夢をつかむために練習の時から声を出して、互いに鼓舞し、切磋琢磨していきたい」と語った。
ラグビークリニックの風景
日本ラグビーフットボール選手権大会3連覇、ジャパンラグビートップリーグ2連覇中のサントリーサンゴリアスの選手たちが、フェスティバルに参加した中級部、初級部の生徒、児童を対象にラグビークリニックを開いた。長年の付き合いがある東京中高ラグビー部後援会のメンバーの申し入れを、サントリー側が快諾し、実現したもの。
子どもたちは尊敬する選手たちから多くを学ぼうと、彼らの一挙手一投足に注目し、練習に励んだ。選手たちはラグビーの技術はもちろん、集団競技に欠かせない助け合う精神の大切さについて丁寧でわかりやすく説明しながら練習を行った。子どもたちは目を輝かせながら指導を受け、クリニックが終わった後も、選手たちの周りに子どもたちが集まり質問攻めにしたり、自ら申し出て指導を受けたりしていた。
「高麗Jr.」の陳裕英さん(東京朝鮮第3初級学校、初6)は、「あこがれの選手たちからタックルやパスのコツを学んだ。試合でいい結果を残せるように、練習で実践していきたい」と話した。
この日、東京都中学校ラグビー大会春季大会の公式戦が行われ、東京中高中級部ラグビー部が勝利を収め、予選リーグ3戦全勝で決勝トーナメント進出を果たした。申誠敏主将(中3)は試合を振り返りながら、「課題である低くて強いタックルができなかった」と反省点を述べ、「『全国大会』に出て同胞たちに力を与えられるよう、これからも練習に励みたい」と決意を述べた。
「No side」の精神で
学父母たちは売店を出しフェスティバルを盛り上げた
参加者たちは試合後、「No side」のラグビー精神に乗っ取り、敵味方関係なく一緒に食事を取り交流を深めた。学父母たちは生徒たちのためにクッパプを振る舞い、また売店を出しフェスティバルを盛り上げた。学父母の許月子(48)さんと洪陽子さん(52)は、「子どもたちが『全国大会』に出場し、花園に行く日を夢見ている。そのためにオモニたちが団結し、全力でサポートしていく」と口をそろえて語った。売店の売り上げは朝高ラグビー部の支援に充てられる。
朝鮮大学校ラグビー部前監督の全源治さん(79)との縁で交流を持ち、朝高ラグビー部を物心両面で支援し応援している辰野永さん（54）は、朝鮮学校の生徒たちは素晴らしいと太鼓判を押す。「日本学校の日常風景から消えたものがここにはある。人の話をよく聞くし、目上の人を敬う。誰にでもていねいにあいさつする朝鮮の子どもたちの姿を見た時は感動した」。辰野さんはこの日、同校高級部、中級部ラグビー部にそれぞれユニフォームをプレゼントした。
東京中高ラグビー部後援会のメンバーである荒川地域青商会の康政茂会長(39)は、色んな世代の人たちが集まることで、いい刺激をもらえるとしながら、「多くの方々が集まり交流を深める機会をもっと増やしていきたい。後援会もより一層バックアップ体制を強化していきたい」と語った。
「高麗Jr.」(青)対玉川学園低学年ラグビー
「ALLOUT INTERNATIONAL」の代表を務める同後援会の申ハンソル幹事長(35)は、ラグビーという共通のキーワードのもとに集まった多くの人々を見て、ラグビーの素晴らしさを再確認したと話す。「日本社会には我々に対する差別や偏見が蔓延しているが、スポーツは別。このような場を設けることによって、多くの方々に感動を与えられるし、日本の方々とも交流を深めることができる。ラグビーが持つ可能性は無限大であると信じている。継続が大事だ。これからも積極的に活動し、朝高強化のため尽力したい」。
一方、愛知では8月31日～9月1日にかけて朝鮮大学校ラグビー部創部45周年、愛知朝鮮中高級学校高級部ラグビー部創部40周年を祝して、朝鮮大学校ラグビー部総会や親善試合が行われる大規模な在日コリアンラグビーフェスティバルが開催される予定だ。
結果は以下の通り。
- 第1試合 ALL OUT 39－17 ぜんかいビアーズ
- 第2試合 東京朝鮮中高級学校中級部 43－5 連合チーム(駒東、九段、大泉、小石川中学校)
- 第3試合 東京朝鮮中高級学校高級部 26－24 目黒学院
- 第4試合 東京朝鮮闘球団「高麗」 12－33 マンダラ東京
- 第5試合 「高麗Jr.」(初級部高学年チーム) 1勝1敗 対練馬ラグビースクール、玉川学園低学年ラグビー部(3チーム対抗戦)
(李永徳)
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