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町田市教委、朝鮮学校への防犯ブザー配布除外問題

2013年04月11日 15:51 権利

のびのびと学べる環境を

東京都町田市教育委員会が朝鮮学校に防犯ブザーを配布しないとした問題が明るみになった4日以降、今回の「決定」に憤激した人たちから寄せられた抗議電話とメールは1,300件を超えた。市教育委は8日午前に協議会を開き、この問題について再検討した結果「『高校無償化』、補助金問題など、社会情勢の判断に引っ張られすぎた」「子どもの安全が優先」とし、決定を撤回した。学校側には9日午前ブザーが送られた。しかし市教委は、撤回の旨を学校側に電話で伝えたのみで、正式な謝罪はしていない。

町田市の不当な「決定」に強く抗議する李政愛校長

根深い差別

市教育委は2004年度から、市内にあるすべての小学校の新一年生に無償で防犯ブザーを配布してきた。朝鮮学校もその対象として2010年度に配布された。今年の2月、同校は2013年度分の防犯ブザー45個を市に要請。しかし、3月28日、市教育委は「社会情勢と民意を考慮した結果」、配布取りやめの決定を李政愛校長に電話で通告した。

5日、「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」の長谷川和男事務局長は、「連絡会」や「朝鮮学校を支える町田市民の会」メンバーらに呼びかけ、市教育委に抗議文を提出した。学校側は同日夕方、同校で記者会見を開き、今回の差別的措置の不当性を批判し、市の謝罪と撤回を強く求めた。

この時点で市内の小学校には3,700個以上の防犯ブザーがすでに配布されていた。ブザーは1個299円。45個を配布したところで大した額ではないが、「金額の問題ではない」と学校関係者たちは複雑な心境を露わにした。

この問題を受け、熊本、名古屋などから「町田市が出さないなら自分が出す」との連絡が寄せられ、実際ブザーを送ってきた人もいたという。また、匿名(日本の一児の父より)で、「防犯ブザー購入に役立たせてほしい」と学校に現金を送った人もいた。

李校長は記者会見で、「気持ちはありがたいが、市が出さないなら他からもらうということで解決される問題ではない。子どもたちがのびのびと学べる環境が整えられることを願ってる」と訴えた。

翌日の6日に行われた同校入学、入園式のあいさつで、李校長がこの問題について言及すると、会場にはどんよりとした空気が漂った。

新入生と「応援隊」で撮った記念写真

今年度、息子が新一年生として入学した李昌熙さん(42、東京都町田市)は、「朝鮮学校ではウリマルを学び、民族の一員として子どもが自然に成長でき、同胞同士のつながりを持てる大切な場所。今回の問題はとても残念。ブザーを配る配らないの問題ではなく、もっと根深いところにこの問題の本質がある」と話した。

学校側によると町田市は以前、市内に不審者が出たため下校時間を早めるよう市内の学校に通達したが、その連絡を朝鮮学校には回さなかった事例があったという。

「入学おめでとう」と書かれたオレンジ色ののぼりをかかげ、新入生たちの門出を祝うため2009年から同校入学式に駆けつけている「朝鮮学校入学おめでとう応援隊」の斎藤京子さんは、こんなときだからこそ、みんなを祝福してあげたかったと前置きしながら、「一番ブザーが必要なのは朝鮮学校の子どもたちのはず。一部の心ない人たちの言動を『民意』と決めつける市の判断は、大多数の心ある日本市民に対する侮辱だ」と批判の声をあげた。

(尹梨奈)

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