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〈投稿〉米の核威嚇時代は終わった/白宗元

2013年04月02日 15:03 朝鮮半島

朝米関係改善の結論下す時

朝鮮戦争で原爆を使用するとトルーマン大統領が言明したのは1950年11月30日である。これは、朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)に対する最初の核脅迫であった。

米国のこの凶暴な計画は、ストックホルム・アピールに呼応した全世界数億人民の平和、反核運動によって抑えられた。しかし、朝鮮に対する核兵器使用の脅威は朝鮮戦争後も止むことなく続いた。

1957年、米国は停戦協定を公然とふみにじり駐韓米軍の核武装を発表した。朝鮮における核問題はここから発生した。

米国はニクソン政権時代の1969年に「フリーダム・ドロップ計画」を立てたが、それは10~70キロトンの各種核爆弾で朝鮮全土を無力化するものであった。

この時期から米国は「チーム・スピリット」を始めた。最近の「キー・リゾルブ」「フォールイーグル」に至るまで間断なく米南合同核攻撃演習を続けてきた。

ブッシュ大統領は、「イラクの次は北朝鮮だ」と朝鮮を名指しで核先制攻撃の対象に指定した。米国は、核による威嚇をまるで核保有国の当然の権利でもあるかのようにふるまった。

オバマ政権が2010年4月に発表した「核態勢の検討に関する報告書」(NPR)は依然として朝鮮を核攻撃対象国とし、前政権と少しも変わっていないことを示した。

しかし日本のマスコミは、これらの危険な核攻撃演習、朝鮮における核戦争の危機的実態をまともに報じたことはない。

この60余年間、朝鮮はアメリカの絶え間ない核の脅威の下にさらされ、計り知れない苦しみに耐えてきた。朝鮮の第一回核実験直後、金大中元大統領は「北朝鮮を核保有へと追い込んだのは、会談を何度も要求した北朝鮮の提案を拒み強圧を続けた米国に責任がある」と指摘した。

米国の核先制攻撃の脅威に直面し、外交的方法で問題を解決する道を全く閉ざされた朝鮮は、危機にさらされた民族と国家の自主権、生存権を守り核戦争の惨禍を防ぐ抑止力として自衛の核を保有せざるをえなくなった。

日本のマスコミは「北の核脅威」を煽っている。しかし、朝鮮半島における緊張激化は停戦協定の平和協定への転換をあくまで拒み、戦争状態の継続を望んでいる米国の核戦略に根本問題があるのであり、長期にわたる核の脅威にさらされてきた朝鮮に起因するものではない。

米国はこの60余年間、戦争、核脅迫、軍事演習、破壊・謀略工作など手段を選ばず朝鮮を締め付ける包囲圧殺政策を続けた。しかし朝鮮は微動だにしなかった。米国が話し合いに応じたのは善意や協調からではない。それは、朝鮮が核の脅威に一歩も譲らず、和戦両様に備え断固として自主権を守り抜いたからである。

朝米関係が良い方向に向かう機会は何度かあった。1994年10月、ジュネーブで調印された朝米基本合意は、両国関係の正常化、軽水炉支援、重油50万トンの毎年提供などを取り決めた。平壌とワシントンでは、連絡事務所の敷地を探す運びにまでなっていた。

ほとんど正常化の軌道に乗りかけた朝米関係を根本からひっくり返したのはブッシュ政権であった。重油の供給を断ち切り、クリントン政権の時に結ばれた朝鮮との合意を破棄した。そして、朝鮮を「ならず者国家」だとして、何のはばかりもなく核先制攻撃の対象とした。

2005年の第4回6者会談で採択された9.19共同声明は、朝鮮半島の非核化、朝米、朝・日関係の正常化、多角的な経済協力と朝鮮へのエネルギー支援について合意を見た貴重な文書であった。

この合意が破綻した原因も米国にある。2009年、オバマ政権は、朝鮮の平和的な人工衛星打ち上げを問題視し、国連安保理による圧力形成を主導することで、9.19共同宣言の自主権尊重、主権平等の精神を踏みにじった。今年の1月には、国連安保理で朝鮮の3回目の衛星打ち上げに対する制裁決議を採択、朝鮮半島の軍事的緊張激化のきっかけをつくった。

手段を選ばず謀略を行い、平気で背信し、イラクやリビアのように相手が弱いと見れば容赦なく国家としての存在すら抹殺する米国の横暴な所業は許されるべきではない。

米国が認めようが認めまいが朝鮮は核保有国であり、人工衛星発射に成功した国である。こんにち朝鮮は経済建設、人民生活向上への道を進んでいる。これまでの歴史的事実は、朝鮮に対する包囲抹殺政策は何一つ成功しなかったことを示した。今度の人工衛星発射について米国はまたもや制裁を云々しているが、宇宙空間の平和的利用は全ての国が平等に持つ権利である。米国や日本、南朝鮮のロケットは不問に付すが、朝鮮のロケットだけは制裁の対象になるという論理を受け入れることができようか。

米国が朝鮮を核で脅迫する時代は過ぎた。朝鮮に対する強圧をこれからも続けるのか、敵視政策を止め、朝鮮半島の平和について話し合うのか、米国は最終的な態度を決めなければならない時期にきている。

 (歴史学博士)

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