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〈朝鮮民族の美 46〉申潤福「舟遊清江」(「蕙園伝神帖」より)

2013年02月22日 14:17 文化・歴史

3人の両班がのどかに3人の妓生を同伴して、舟遊びを楽しんでいる。楽士も船頭も準備してのこと。

紙本淡彩(28.3×37.2cm、澗松美術館蔵)

右手に立つ男は、やさしく妓生に煙管をすすめながら肩を抱こうとしており、水に手を浸そうと腰をかがめる妓生の脇では、その顔をよく見ようと男があごを支えている。

その後に立つ髭の男だけが相手の妓生から離れ、後ろ手を組んでいる。この男がいちばん年上らしく、また、行動も慎んでいるようである。よく見ると、胸の辺りで締める帯(細条帯)は喪中を示す白色ではないか。

この帯は、官職によって、上級は紅あるいは紫色を、その下は青か緑で、日常服には黒の帯を付けることになっている。それでは、その下に座っている頤に手をやる男の胸を見ると、これまた謹慎が求められる白帯であるが、この男の顔は全くそんなことを気にする気配もない。

蕙園・申潤福の書いた題詩を見ると、漢字で「笛晩風聴不得 白鴎飛下浪花前」(笛の音は夕暮れの風のため聞くを得ず、白鴎のみ波頭をめざし飛び下る)と書かれている。

笛の音とは理性であろうか、それは夕暮れの風(中年過ぎての情欲)つまり、女性に向けられる男の情は、波頭をめざす白鴎のように女性に向かうという意味。つまり、この絵は、三人三様の女性に対する男たちの胸中を示しているのである。

(金哲央)

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