愛知・尾張青商会が結成、地域同胞社会への思いを形に
2013年01月31日 10:50 暮らし・活動青商会の地域組織、115個目
日本各地115個目の地域青商会が、愛知県尾張地域に結成された。1月27日、尾張支部会館で行われた結成総会には、同地域の30代をはじめ総聯、女性同盟、朝青、各団体などから幅広い世代の同胞ら60余人が参加した。青商会中央、長野、岐阜県青商会のメンバーらも駆けつけ門出を祝った。地元朝鮮学校の統合などにより、尾張地域では近年、若い世代の活動が縮小傾向にあった。地元愛の深い同胞青年を中心に結成された同地域青商会には、同胞社会を活性化する起爆剤としての役割が期待されている。
「器」の必要性
愛知県北西部に位置する尾張支部は、名古屋市を扇状に囲むように横たわる広い地域を包括している。学区も東春朝鮮初級学校、名古屋朝鮮初級学校、岐阜朝鮮初中級学校の3つに分かれている。かつては尾西、尾北と2つの支部に分かれており、地域同胞社会の中心には愛知朝鮮第8初級学校(当時)があった。総聯、女性同盟、朝青のほか30代同胞たちは、アボジ会活動など学校支援を通じて、交流を深め、繋がりを持ってきた。
しかし2000年、愛知第8初級が名古屋初級に統合されたことをきっかけに、地域同胞、とくに30代の集まる場は極端に減り、朝青を引退した青年たちを受け入れる「器」は、同校卒業生を中心とした若い世代同士の繋がりに限定されていた。
結成総会で、報告を行った尾張地域青商会結成準備委員会の成慶得委員(38)は、結成にいたる経緯について触れながら、「各地で青商会が活発に活動するなか、尾張でも青商会を新たに結成し、後世のために豊かな同胞社会を作る活動が求められていた」と強調した。
地域青商会結成の話が本格化したのは、昨年10月。それまでも、幾度となく結成の話が持ち上がっていたが、「負担になる」「今さら(総聯)傘下になりたくない」などの否定的な意見が大半を占めていた。
一方で、30代同胞を網羅する「器」の必要性を訴える声もあった。2年前、京都から越してきた金純男さん(34)は、「何かしら活動に参加したいのに、よそから来ていきなり同胞社会と関わりを持つというのが予想以上に難しかった」と振り返る。
「まずは器から作ろう」(成慶得副会長)-青商会結成の第一歩は、同胞青年たちと組織的な土台の重要性を根気よく話し合うことから始まった。
会員拡大に主軸を
馬昌樹幹事長(38)は、「今さら青商会を結成して組織の傘下になることに反発心があった。けれど、純男だけでなく、同胞同士集まる場を求める声がたくさんあったのも事実。結成について話し合う過程で、自分たちの世代がその土台を作らなければいけないと思った。地域同胞に育ててもらったという感謝と、何か恩返しがしたいという気持ちは常にあったから」と話す。
この間、結成に向け準備委員会が発足し、対象青年たちの名簿の整理、宣伝、同胞青年たちの賛同を求める電話連絡や訪問など、結成の準備が進められてきた。
成慶得副会長は、「30代は性格が控えめだから、普段あまり気持ちを前面に出さないけれど、同胞社会への愛情は人一倍強い」と語る。結成当日は、満場一致で迎えられた。
結成総会で祝辞を述べた青商会中央の洪萬基会長は、「地域青商会結成は、愛知同胞社会をより豊かにするきっかけになるはず。全国7,000人の青商会会員たちの力にもなる。喜びや悲しみを分かち合いながら、共に力を合わせて活動していこう」とエールを送った。
また総聯本部の文光喜委員長は、「先代が守ってきた歴史と伝統を引き継ぎ、地域に根づいた活動を展開してくれれば」と期待を寄せた。
姜舜経初代会長(38)は「これまでのようなただ集まって飲み会をするようなものではなく、実のある活動を行っていきたいと思っている。地域の実情にあった具体的な活動内容を考えながら、出来ること、出来ないことを探しやっていきたい」と語った。当面、会員拡大に主軸を置きながら若い世代が参加できる活動を行っていく予定だという。
愛知県下では、昨年8月に東春・守山地域青商会が、11月には中川地域青商会を再建。今後は、各地域が連帯し、県と地域が一体となった立体的な活動を展開していきたいとしている。
(周未來)