「ぬかるみまで愛おしい」、大阪朝高創立60周年大祝典に参加して/大村和子
2012年12月13日 11:04 暮らし・活動大阪朝鮮高級学校創立60周年大祝典は、野外の特設舞台で、千人を超える朝鮮学校初、中、高級部生徒たちの大合唱で始まった。
しばらくして雨が降り始め、参加者席に傘が開き始めるほどになったが、生徒たちは雨が降り出したことをまるで気にしていないかのように舞台の上で落ち着いていることに驚いた。
ステージでの公演をしばらく中断するとのアナウンスがあって、生徒たちは静かに降壇した。
生徒たちのこの落ち着いた行動は、力強く活動するエネルギーに劣らない、大きく静かなエネルギーだと感じた。少しのことでは動じない、困難があっても乗り越えようとする力強さだ。それは朝鮮学校で育まれた力強さだと思う。脈々と受け継がれてきた民族教育の豊さの一つの表れだと思う。
多くの朝鮮人が、4・24教育闘争後も一貫して続く民族教育に対する日本政府の弾圧に屈することなく闘い、朝鮮学校を守り発展させてきた。その苦難と希望の歴史を思うといつも胸が熱くなる。
朝鮮学校は、朝鮮人としてのアイデンティティーを養い、背筋を伸ばして力強く生きる青年たちを社会に送り出し続けてきた。この差別に満ちた日本の社会の暗さの中で明るい光を発し続けている存在であり、日本の社会の在り様を映し出す鏡でもある。
生徒たちの公演は文化会館で行われた。素晴らしい公演が続き、観る人々は自由に動き、とても楽しい雰囲気にあふれていた。
雨が上がり、運動場での祝典が再開され、地域対抗の歌の競演、歌舞団の公演、文芸同の舞踊がつづいた。創立60周年を迎えた大阪朝鮮高級学校の卒業生が同級生ごとに各テーブルに集い、行き交い、あちこちで話が盛り上がっていた。
テーブル間の通路はぬかるんだ。頭まで泥をはね上げた子どもが通る。行事のスタッフが急ぎ足で通る。握手を交わす人が立ち止まる。来賓の黒い革靴、ごっつい体の朝高生の運動靴が通る。フィナーレ近くの踊りの輪が通る。統一列車の踊りの列が通る・・・。
日本学校の運動場ならお金のかかる排水工事がされているのに、また、後かたづけはどんなに大変だろうと思いながら、60周年記念祝典の感動でぬかるみまで愛おしく、美しく感じた。
(城北ハッキョを支える会)