〈朝鮮民族の美 43〉金弘道 「耆老聯禊図」部分
2012年12月21日 17:39 文化・歴史朝鮮時代には長寿した老人に敬意を表し、祝賀するために宴を開いて接待した。また、これを記念して絵を描いて記録したのだ。
この絵は、開城地方の老人64名が松嶽山の麓の満月台(高麗時代の宮殿址)で接待を受ける所を、画員の金弘道が描いたもの。この宴は、耆老宴といって毎年3月3日(誌鎗劾)と重陽(9月9日)の日に執り行なわれた。絵の下部には招待された人たちの名前が列挙されている。宴の中央には大きな宴会の卓があり、花と酒瓶が置かれている。よく見ると、各自の前には一人用の膳が置かれ、飲食物を運ぶ少年たちが忙しく働いている。また、階段の上の末席には、楽団が音楽を奏し、2名の舞童が踊っている。
絵の右下あたりには行政の担当者が待機しており、女たちが食物を頭に乗せて運んでいるのも見られる。絵の左側は、この宴の家族やら見物人が、静かに見守る人もおり、すでに酔って踊り出す人、座って仲間で飲んでいる人たち、階段の前では酔いつぶれた人、また、この機会にと乞食をする人も見られる。全般的には安定した社会におけるめでたい行事の生き生きとした人々の活気が静かに湧き出ているのが感じられる。金弘道は画院に属する画家として、このような国家的な行事の記録画も、他の画員と合作したりして残したのである。
(金哲央)