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金剛山歌劇団阪神地区スペシャルライブ、日朝14団体が共催

2012年10月30日 16:18 暮らし・活動

“朝・日結ぶ「虹の架け橋」に”

会場内を魅了した金剛山歌劇団の華麗な舞台

「国際協調・交流事業-日・朝友好親善芸術のつどい-『金剛山歌劇団スペシャルライブ2012』」が26日、兵庫県立芸術文化センター・KOBELCO大ホールで行われ、地域同胞や日本市民など約2,000人の観客が、昼と夜の公演に足を運んだ。
本公演は、「尼崎日朝友好協会」をはじめとする、尼崎、伊丹の議員連盟と、宝塚、西宮、阪神など「朝鮮学校を支える会」、労働組合などを含む14の団体と兵庫県下の総聯各支部が共同で「金剛山歌劇団阪神地区公演実行委員会」を結成し、共催した。また、尼崎市など4つの自治体と教育委員会、神戸新聞社、サンテレビジョンなど21団体が後援した。昨年9月から同胞と日本人有志で実行委員会が結成され、これまで約1年2ヶ月の準備期間を経て行われた公演は、大盛況のもと幕を下ろした。

伝統文化の中に過去の絆

公演では岸田衛幸実行委員長があいさつした。岸田委員長は、昨年から実行委を組み、これまで1年2ヶ月の準備期間の間に、阪神地区をはじめ兵庫県各地の同胞たちと交流を深めてきた振り返りながら、これまでの準備期間に協力してくれた多くの人々に感謝の言葉を伝えたいと語った。

打楽器演奏「Fusion Music of Korea」

また、「在日の方々も阪神地区に住む同じ市民」ということを強調しながら、これからも共に手を取りあい、同じ市民として良い街づくりをしていきたいと語った。

2部構成で行われた公演の1部では、混声重唱「虹の彼方」、男声独唱と伴奏「幼き頃の想い(어릴적 마음으로)」、女声4重唱「口笛2012」、混声重唱「コマウォ(고마워)」,

チャンセナプ独唱「喜びのアリラン(강성부흥아리랑)」、男声独唱「灯台」、打楽器演奏「Fusion Music of Korea」などが披露された。また、朝鮮の伝統歌のみならず、女声独唱「川の流れのように」、男声独唱「また会う日まで」、チャンセナプ独唱「虹の彼方へ(Over The Rainbow)」などの流行歌や曲などもアンコールで披露された。

第2部では群舞「扇の舞」、独舞「菩提薩埵」、重舞「拍片舞(パクピョン舞)」、双舞「双剣対舞」などの民族性溢れる華麗な踊りと歌が繰り広げられた。舞台終盤では「朝鮮民謡」の歌と共に群舞「農楽舞」が披露された。舞踊手たちが「愛・虹の架け橋」、「我ら民族同士」と書かれたのぼりを掲げながら、会場を練り歩くパフォーマンスを見せ、力強い「農楽舞」を披露。拍手喝さいを浴びた。フィナーレは合唱「さようなら、また会う日まで(안녕히계세요 다시 만나요)」で幕を閉じた。

公演後には金剛山歌劇団員たちと実行委員会のメンバーに花束が贈られた。

公演を観覧した裵且雲(78)さんは「50年以上の歴史を持つ金剛山歌劇団の素晴らしい公演を観ながら、ともに在日同胞社会の歴史をたどり、祖国の繁栄を願った」と興奮が冷めやまぬ口調で話した。

出演者と共に、実行委員会のメンバーもステージに上がり、花束を受け取った

金剛山歌劇団の公演が近場で開催されるとなれば欠かさず観覧しているという尼崎東支部・園田分会の姜健二分会長(74)は、「日本人が実行委員長に就任してくれたと聞いたときは、日朝関係が悪化しているとき、よくぞ引き受けてくれたと驚いた。このように公演が大成功に終わって、朝・日友好の輪が大きく広がっていることを実感できた。いまわれわれが朝鮮学校への『高校無償化』の適用をはじめ、民族教育を守っていくのに、日本の人々との連携なしにはとても難しい。これからも私たちを理解してもらえるよう、交流をより深めて行くことが大切だと改めて思った」と語った。

会場には県議、市議40余人をはじめ、日本の多くの人々が昼と夜にかけ、多数駆けつけた。

実行委員の一人である、宝塚市議会の大島淡紅子議員は、以前金剛山歌劇団の公演を見たことが契機になって日朝文化交流の歴史について自然と目を向けるようになったと語る。

「(公演フィナーレの)農楽を見たとき、400年前朝鮮通信使がやってきて両国の交流を深めた時代とはこんな雰囲気だったのかと、思いを巡らせた。これからも民間から声を上げて、交流の中から接点を見出し、いい関係を築いていかなければならないと切に感じた」

「同じ市民」として

公演に向け、昨年の9月に実行委が発足。日本人有志たちと地域同胞たちが2人3脚で準備に取り組んできた。月ごとに実行委や事務局会議を開き考えを共有してきた。

岸田実行委員長は在日同胞社会と関わるのは今回がはじめてのことだったという。しかし、同氏は「何事に対しても真剣に取り組み、情熱を注ぐ」在日同胞たちの輪の中には非常に入りやすかったと語る。

万雷の拍手を送る2000人の観客たち

「どこの国であってもその町に住めば国籍とか、民族に関わらず1人の『市民』として権利を享受する。それは自分の子、孫の代まで続くものだ。いま在日の方々に風当たりが強い情勢ではあるが、われわれ市民レベルで出来ることからやっていくことが大切だ。また、いま不景気の阪神地区で、在日の方々との理解と協力を深め、町全体を盛り上げていきたいという思いもある。これからも交流を深め、ともに良い街づくりをしていけたらいい」

日本人有志らとともに実行委の活動に励んできた姜大宇実行副委員長(尼崎東商工会会長)は「今回阪神地区で日本の団体と共同で主催するという初の試みを行ったが、岸田実行委員長がわれわれのことを深く理解してくれて、日本の各団体への呼びかけなど朝・日友好の架け橋として尽力してくれた。1年以上もの準備期間を通じ、日本の市議会議員や各団体など、阪神地区の広範囲の地域で朝・日友好のインパクトを与えられたものだと実感している。朝・日関係はいま冷え切ってはいるが、今回積み上げた土台をもとに、これからも民間の力で少しでも絆を深めて、いい関係を築いていければと思う」と話した。

(李炯辰)

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