〈国体・ボクシング〉大阪朝高・李健太選手、決勝進出
2012年10月07日 15:10 スポーツ「第67会国民体育大会(ぎふ清流国体)」のボクシング競技(4~8日まで)に、東京朝鮮中高級学校と大阪朝鮮高級学校のボクシング部3選手が出場。3冠を狙う大阪朝高の李健太選手(ライト級、高2)は決勝(8日)進出を決めた。一方、東京朝高の柳徹相選手(ウェルター級、高3)は3回戦で、大阪朝高の鄭真選手(ミドル級、高2)は初戦で敗れた。会場には4日の一回戦から、大阪、東京、そして開催地・岐阜や愛知から同胞、朝鮮学校生徒らが応援に駆けつけた。
同胞の声援受け、目指すは3冠
「第23回全国高等学校ボクシング選抜大会 」(3月)、「2012北信越かがやき総体(全国高等学校総合体育大会=インターハイ)」(8月)と2冠を達成している李健太選手は3冠に挑んでいる。
1回戦(4日)では、「選抜」で僅か1点差で勝利した阿部龍征選手(北海道・札幌工業高校)と再戦。「選抜」と同様に苦戦を強いられ、7-7の判定にもつれ込んだが、辛くも勝利。その後は徐々に感覚を取り戻し、2回戦(5日)では澤井達希選手(香川・高松商業高校)に11-2と圧勝した。
準決勝進出をかけた3回戦(6日)で岩澤翔選手(千葉・西部台千葉高等学校)と対戦した李選手。1Rから距離感をつかみ、得意の右ジャブをタイミング良く当ててポイントを重ね、2Rには上下のパンチを上手く使い分け、左ストレートで点数を大幅に引き離し、7-1で判定勝ちした。
準決勝では、宇津木秀選手(埼玉・花咲徳栄高等学校)に勝利した。
李選手は「私たち朝高生のためにわざわざ応援に来て声援を送ってくれた同胞たちのためにも負けられない。必ず優勝したい」とメダルに意欲を見せた。
試合には初日から愛知朝鮮中高級学校の生徒をはじめ県下の同胞たちも大勢駆けつけた。5日にお手製の応援プラカードを手に会場を訪れた岐阜朝鮮初中級学校の中級部3年生たちは、朝高生のボクシングを直に見るのは初めてだと目を輝かせていた。郭仙京さん(中3)は、「圧勝した李選手がすごく格好よかった。連勝して必ず優勝してほしい」とエールを送った。
岐阜初中の朴九令校長は「李選手が試合前に『自信がある』と語っていて、いざ試合で圧勝したのを見て、本物の実力を持っているのだと感動した。必ず勝ち進み、ウリハッキョの名を全国に轟かせて欲しい」と語った。
会場には大阪朝高ボクシング部父母会の李香代さんの姿もあった。同ボクシング部に所属する李成真選手(2年、フライ級)のオモニである李さんは、「大阪朝高のボクシング部員たちはみんな自分の子どもと同じだ。レベルの高い大会でこうして堂々と連勝しているのを見て誇らしい。健太らしいボクシングでこれからも勝ち進んで欲しい」と微笑んだ。
李健太選手は8日の決勝戦で田中洸太郎(京都・莵道高)選手と対戦する。
多くの人々の声を忘れない
東京朝高の柳徹相選手(高3)にとっては今大会が高級部生活最後の公式戦。これまで選抜、インターハイと「全国」大会に出場を果たしてきた柳徹相選手。過去の試合での経験を活かし、今大会では初戦を10-4と大きなポイント差で勝ち進んだが、続く試合で惜しくも敗れた。
柳徹相選手の祖父・柳政一さん(79)は、孫の試合を初めて観戦し、「闘志溢れる試合が見られた。本当に3年間よくがんばった。ボクシングを通して培った経験をいかに活かしていくのかは、徹相自身に懸かっている。前を見て、次の一歩を強く歩んで欲しい」とエールを送った。
柳徹相選手は「3年間ボクシングをしながら、辛くても決してあきらめないこと。そして自分一人で試合をしているのではなく、いつも後ろには大勢の人々がいるのだと学んだ。地域の多くの同胞たちがあたたかく見守ってくれたことを忘れない。どんな道に進もうともこれを土台にして頑張っていきたい」と力強く応えた。
(李炯辰)