洪成潭・5月版画展「ひとがひとを呼ぶ」
2012年04月10日 12:09 文化光州の5月と3.11後の日本を考える
南朝鮮の民衆美術運動を代表する画家・洪成潭(ホン・ソンダム)氏の光州民衆抗争を描いた5月連作版画展「ひとがひとを呼ぶ」が3月29日から4月4日まで、東京・練馬区のブレストの芝居小屋で開かれた。
洪氏は、1980年5月、全斗煥・盧泰愚軍部ファッショ勢力の武力弾圧により、2,000人以上もの市民らが無残に虐殺された光州民衆抗争で、市民軍の文化宣伝隊長として活動した。会場には、洪氏の代表作とされる「光州民衆抗争連作版画」全50点と、作品に添えられた詩が展示され、たくさんの人々が熱心に作品に見入っていた。
実行委員の岡本有佳さんは、「イベントは当初、昨年5月に予定されていた。しかし、準備過程で3.11に直面し、実行委員らがその後の日本社会の状況をどう受け止めればいいのか論議した結果、日本社会の現状と問題点をしっかり認識する作業が必要とのことで、今年3月末の開催になった」と話す。
会期中は、展示会の他に、5月版画の詩の朗読とパフォーマンス、対談「『あなたとわたし』を守るために」①「抵抗の想像力」(洪氏×高和政さん・文化批評)、②「抵抗の創造」(洪氏×中西新太郎さん・現代日本社会論)も行われた。
1日、洪氏と中西さんによる対談では、連作版画制作に関するさまざまなエピソードに加え、3.11後の日本の問題についても語られた。