〈朝鮮民族の美 16〉青磁彫刻 童女形水滴(重要美術品)
2012年02月17日 14:43 歴史可愛らしい童女の姿に作った水滴である。蓮の蕾形の髷が蓋となっていて、そこから水を入れ、少女の抱えている瓶が注ぎ口となっている。全体が良く均衡の取れた姿であり、特に瞳に淡く鉄彩が入っていたり、小さな口や前髪、顔より大きい瓶を抱える手つき、そして衣装や水瓶には陰彫で小さな文様が刻まれていることなど、繊細な、まことに心憎きばかりの名作である。同館にはもう一つ、同じ大きさの鳥を抱える「青磁彫刻童子形水滴」があって、珍しい宝石のような双璧をなしている。
高麗の文人、李奎報は次のように詠った。
「青い衣の幼い童子、玉の肌に膝を曲げた姿はうやうやしく、顔立ちはくっきりと、終日倦むことなく、瓶を掲げて水のしずくを供する。…」(東国李相国集、13巻)これを見ても可憐なこれらの水滴が文人の机にあって、愛玩されていたことが知られる。
ところで、高麗青磁は朝鮮時代にはまったく忘れられ、伝世品は一点もない。日帝時代になって植民地経営者の盗掘によって、初めて高麗青磁の美しさが認められ、高麗貴族の墓の盗掘が大規模に進められ、高麗文化財の流出が続くのである。したがって高麗青磁の殆どが臓物であって、例えば日帝高官の伊藤博文などは、大手の故買人であったことを我々は知っておかねばならない。
(金哲央)