〈歴史×状況×言葉 15〉村上春樹(上)/政治嫌悪と自己愛で紡ぐ「物語」
2011年05月30日 14:29 歴史
エルサレム賞受賞式でスピーチする村上春樹氏。イスラエル軍によるガザ空爆に言及しながら、「高くて、固い壁があり、それにぶつかって壊れる卵があるとしたら、私は常に卵側に立つ」と述べた
前回からしばらく間が開いたので、連載再開にあたり閑話休題、というわけでもないが、少し趣向を変え今回は現代作家を取り上げようと思う。2009年、村上春樹が発表し爆発的なセールスで社会現象となった「1Q84」について見てみよう。というのも、朝鮮植民地支配から百年目を迎える時期に書かれたこの作品にも、一人の朝鮮人が登場するからだ。
続編の「BOOK3」まで出され、複雑な構成を持ったこの3巻の長編を詳らかに検討する紙幅はないが、とは言え、今回はまず作品をいかに読むかということについて私見を述べておきたい。