〈歴史×状況×言葉 11〉中島敦(中)/被支配者からのまなざし
2010年12月13日 00:00 歴史中島敦に関し原稿の続きを構想していたさなかの12月5日、昭和天皇に有罪判決を下した唯一の民衆法廷である「女性国際戦犯法廷」から10周年の国際シンポジウムが東京外国語大学にて行われた。アジア各地からの旧日本軍「慰安婦」たちが語る被害体験の生の声を、はげしい痛覚と怒りをもって聞いた。戦時性暴力の残虐さはもちろん、奪われた尊厳を取り戻し、あくまでその責任を追及してたたかっていく強靭な意志にあらためて立ち会えた貴重な時間だった。また高齢で年々亡くなっていくハルモニたちの呼びかけに現在世代がいかに応えていくかという実践への問い、何よりほかならぬ被害者女性たち自身から、絶望的な現下の状況にあっても決してあきらめない勇気を得た。