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〈歴史×状況×言葉 8〉芥川龍之介(下)/「小児と大差ない日本男児たち」

2010年09月06日 00:00 歴史
朝鮮王室儀軌

朝鮮王室儀軌

朝鮮植民地支配100年に際し今夏発表された菅首相の談話について、日本の主要紙は軒並みこれを「評価」する社説を載せ、南の李明博大統領も「歓迎」の意を示した。「朝鮮王室儀軌」など略奪文化財を「お渡し」する(「返還」ではない!)という、きわめて象徴的なおまけつきで。象徴的、としたのは、現政権も言論も、1965年「韓」日条約の立場、すなわちあくまで植民地支配責任を不問にし、請求権問題や文化財問題は「解決済み」という枠内にて、「韓」日間の「和解」「未来志向」を演出したいということなのだ。政治経済軍事的な両者のもくろみを互いにすり寄らせながら。

朝鮮の宋日昊朝.日国交正常化交渉担当大使は菅談話について、「(首相談話は)南朝鮮だけを対象とした。村山談話(1995年)より後退した」と正面から批判した。そして朝鮮学校の高校無償化適用はまたも「先延ばし」とされてしまった。「韓」日間のみで歴史責任問題が解消されようとし、空疎な「未来」の言葉の裏で強化される分断統治と在日朝鮮人の切り捨て-結局、1965年以来今日まで継続しているのは、「韓」日条約の焼き直しの反復にほかならず、歴史はますます都合よく塗りつぶされていく。

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