〈渡来文化・その美と造形 1〉石塔寺 三層石塔
2010年01月18日 00:00 文化・歴史滋賀県東近江市蒲生町

石塔寺(日本最古の石塔、7世紀、花崗岩、4.64メートル〈後補の相輪を覗く〉、重要文化財、滋賀県蒲生町)
布引山丘陵の麓、石塔寺の山門をくぐり、158段の石段を上りつめると、突然視野が開け、数千墓の五輪石塔と石仏に埋め尽くされた台地に出る。その中に三層石塔がそびえ立つ。
この石塔は、日本の三層石塔としては最大であり、最古のものである(相輪は後補)。各層が別石で組まれた塔身部は、背が高く梯形状で、初層のみは前後二枚石から成る。やや腰高に見えるが、各層の逓減率が大きいので安定的であり、群小塔の中にあって凛然と立つ、まことにスマートな塔である。
その様式は、百済のものと細部手法やつりあいが共通する。
現在、百済の故地に残る代表的石塔は、7世紀前半の弥勒寺址石塔(全羅北道益山郡)と定林寺五層石塔(忠清南道扶余)であり、後者が石塔寺の塔のルーツをなす。いずれも花崗岩を用いている。
この定林寺の石塔様式を継ぐのが、高麗時代の長蝦里三層石塔(忠清南道扶余郡場岩面)である。高麗の石塔は、新羅の伝統を承けながらも、かつての新羅の故地であった慶尚道では新羅系の、百済の故地全羅道や忠清道では、百済系石塔様式が継がれる。
長蝦里石塔は定林寺石塔を模したもので、石塔寺の石塔に最も近似している。
石塔寺の石塔は8世紀前半のものと思われる。
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