〈朝鮮と日本の詩人 111〉荒川洋治
2009年11月24日 00:00 文化・歴史朝鮮軽視の風潮を批判
かつての朝鮮史・朝鮮語講師の寿命はみじかい
二〇代でびょうきを知り
三〇代で理由もなく 紫檀を売る人もいた
どこかの会社の常夜灯からも遠い
たとえば奉職先の富山大学朝鮮語朝鮮文学コースの
長い臨時階段を降りきると
近くの女性に ひとこえをかけ
早くに死んでいった
梶井陟六一歳、梶村秀樹五四歳
当時誰も興味をもたないものを
廊下のようなところで つづけたのだ
でも印刷機のそばで
椅子にもすわらずに
ある人が立っていた
きみを知らない
相手は立っていた
(中略)
朝鮮語講座には
廊下にも 人がいない
まんぞくな朝鮮語の辞書もない
(以下略)