〈朝鮮と日本の詩人 96〉松本千鶴
2009年06月29日 00:00 文化・歴史心の海の無数のいかり
われらのこころの海には
無数の碇が沈んでいる。
大小さまざまのたたかいの歴史よ。
波しずかなる日
それらひとつびとつの歴史をしらべよ。
いかにひとり言葉なくたたかわれしことよ。
嵐よ 海を打て!
忘却のふかき底より眠れるいかりを揺すぶり返せ。
逆まく波よ
とどろけ 荒磯を打てよ。
いかにひさしく眠りしことか。
友よ。君は君のひと日として忘れざりし言葉をば語れよ。
君らが歌はわれらが歌。
過ぎしたたかいを 未来へのたたかいを歌えよ。
空と海ほど調和ある
すべての縛めなき自由を
広き海原に合唱せよ。
前途の航路は遅々としてはるかなれど
いかりをあげよ われらが鍛えしいかりを。
嵐よ 海を打て!
逆まく波よ
とどろけ
よりいっそうわれらが歌はたかまる。