〈朝鮮と日本の詩人 76〉高群逸枝
2008年12月22日 00:00 文化・歴史天は虐政の霧に覆われ
(冒頭から4連19行省略)
下関行の三等列車。午睡時の車輪の轟。
窓はぴかぴかする。群集は各々の目で血眼になっている。
李王家無二の忠臣朴時奎。
彼の愛子は朴尚鎭。独立光復団長。
あわれ愛子は強盗殺人放火の汚名を以て刑場の露と消え、
身は飄転流浪の客となる。
天は虐政の霧にて蔽われ、血はどぶのなかに塗りこめられている。
汽車は轟き行き、虚偽は太陽のなかで安息している。
午睡時の帝都。