〈朝鮮と日本の詩人 24〉槙村浩
2007年02月08日 00:00 文化・歴史おお三月一日!
民族の血潮が胸を搏つおれたちのどのひとりが
一九一九年三月一日を忘れようぞ! その日「大韓民族万歳!」の声は全土をゆるがし
踏み躙られた日章旗に代えて
母国の旗は家々の戸ごとに翻った
胸に迫る熱い涙をもっておれはその日を思い出す!
反抗のどよめきは故郷の村にまで伝わり
自由の歌は咸鏡の嶺々に谺した
おお、山から山、谷から谷に溢れ出た虐げられたものらの無数の列よ!
先頭に旗をかざして進む若者と
胸一ぱい万歳をはるかの屋根に呼び交わす老人と
眼に涙を浮かべて古い民衆の謡をうたう女らと
草の根を齧りながら、腹の底からの嬉しさに歓呼の声を振りしぼる少年たち!
赭土の崩れる峠の上で
声を涸らして父母と姉弟が叫びながら、こみ上げてくる熱いものに我知らず流した涙を
おれは決して忘れない。