〈朝鮮名峰への旅 19〉1000段余の梯子を下り1メートルの氷覆う天地へ
2006年04月13日 00:00 文化・歴史4月の下旬から5月にかけて、白頭山の山麓では緑が次第に濃くなる。しかし、山の中はまだ寒く、雪が多く残っている。天池は氷が張りつめ、湖面の上を歩けるのはこの時期だけである。
無頭峰宿舎を出発した車は、残雪のためにケーブル駅の手前で登ることができなくなった。ここから重い荷物を背負っての登畔となる。稜線に出ると、天池から吹き上げる風が切るように冷たい。
天池への下り口の梯子まで来ると、幸いなことに梯子の大部分は雪の外に出ていた。厳冬期には、すっぽり雪に覆われていたのである。天池への下りは、この急な1000段あまりも続く梯子なしには考えられない。カルデラ壁の上部は、見た目は垂直に近く、断崖絶壁である。この梯子だけが、天池に下る唯一の道である。その梯子を一段一段、慎重に下りきり、平坦な雪原に降り立った。これから10日間を過ごす山小屋は、ここから10分ほどの場所にある。