〈朝鮮と日本の詩人 3〉北原白秋
2006年02月10日 00:00 文化・歴史むかしむかしその昔、
虎が煙草を吸うたころ、
長白山から鷲が来て、
岩の根もとの牡丹が咲いて、
そこへ黄色いおべべの唐子、
唐子ぽこぽこ水汲みまする。
水は清いし、深さは深し、
遠いお里で笛吹きまする。
月も出まする、夜もあけまする。
明けりゃ唐子の影もない、
鷲も牡丹も、陰もない。
そこで煙草の火も消えた。
虎がわっそりあくびした。
これでおしまい、はい、さようなら。
むかしむかしその昔、
虎が煙草を吸うたころ、
長白山から鷲が来て、
岩の根もとの牡丹が咲いて、
そこへ黄色いおべべの唐子、
唐子ぽこぽこ水汲みまする。
水は清いし、深さは深し、
遠いお里で笛吹きまする。
月も出まする、夜もあけまする。
明けりゃ唐子の影もない、
鷲も牡丹も、陰もない。
そこで煙草の火も消えた。
虎がわっそりあくびした。
これでおしまい、はい、さようなら。