〈女子サッカー〉日本に3-1で勝利し悲願の優勝

[`evernote` not found]
Facebook にシェア
LINEで送る

2大会ぶりの金、前回の雪辱晴らす

(사진 로금순기자)
ピッチ中央に駆け寄り喜びを分かち合う朝鮮選手たち(写真:盧琴順)

【仁川発=李永徳】23歳以下の朝鮮女子サッカーがアジアの頂点を極めた。国際サッカー連盟(FIFA)の世界ランキングで11位につけている朝鮮は決勝戦で同ランキング3位の日本と対戦。激戦の末、3-1で勝利し朝鮮にとって今大会10個目となる金メダルを獲得した。朝鮮は金10個、銀10個、銅12個、合計32個として国別メダルランキングで6位につけている。

(사진 로금순기자)
(写真:盧琴順)

北南一丸となって勝利掴む

試合開始前から赤や白のTシャツに身を包んだ「南北合同応援団」が大声援を送るホームの雰囲気の中で、たたかいの火蓋は切って落とされた。

朝鮮は日本に通算対戦成績で9勝5分5敗と勝ち越している。同大会では2006年、2010年に続き3大会連続で決勝が同じ組み合わせ。前回の広州大会では0-1で敗れ、眼前で優勝をさらわれた。是が非でも優勝を成し遂げて雪辱を晴らしたかった朝鮮は、試合開始から気迫のこもったサッカーを展開する。

前半11分に試合は動く。右サイドからDFユン・ソンミ選手が放った低いフリーキックがゴール前の密集地帯でこぼれ、そのボールにいち早く反応したMFキム・ユンミ選手が右足を振り向いて幸先よく先制点を決めた。

その後も朝鮮は豊富な運動量と高いボールテクニックで相手ゴールに迫る。負けじと日本も反撃し、両チームとも絶好の決定機を作り出すなど手に汗握る攻防戦が続いた。

後半開始早々、朝鮮はFWホ・ウンビョル選手を投入。これまで4試合で3得点を記録し、準々決勝と準決勝では途中出場から決勝点を決めた切り札をピッチに送り、攻撃に厚みを加える。

後半7分にはカウンターから、相手ディフェンスラインの背後を突く絶妙なパスに抜け出した主将のFWラ・ウンシム選手が得点しリードを2点に広げる。

時間の経過とともに応援は熱気を帯びていき、好プレーが生まれるごとに選手の名前が力強くコールされた。鳴り止まない声援に感化されるように、朝鮮の選手たちは後半11分に失点しても足を止めることはなかった。日本に攻め込まれても最後の局面で選手全員が体を投げ出してボールに食らいつき、攻めの姿勢を貫き通した。

そして試合終了間際、朝鮮にとってこの日三度目となる歓喜の瞬間が訪れた。

日本の猛攻を跳ね返すと、朝鮮の選手たちは最後の力を振り絞って相手ゴールに向かって一斉に駆け出した。左サイドからゴール前へとクロスが放たれると途中出場のFWホ・ウンビョル選手が猛然と走りこみ、相手選手と競り合いながら渾身のダイビングヘッドをゴールに叩き込んだ。

優勝をほぼ手中に収めた一撃に会場は大歓声に包まれ、選手たちはFWホ・ウンビョル選手のもとへと駆け寄り力いっぱい抱き合った。そして競技場に試合終了のホイッスルが鳴り響くと朝鮮の選手たちや観客席で気持ちをともにして声を枯らしていた朝鮮選手団、「南北合同応援団」もともに湧き上がる喜びを再度爆発させた。

(写真:盧琴順)
(写真:盧琴順)

高まる祖国統一への機運

この日、会場には北南の人々が抱く「祖国統一」「民族和解」への熱い思いが充満していた。

観客席には多くの「南北合同応援団」が陣取り、「ウリエソウォヌン、トンイル(我らの願いは統一)」と刻まれた大きな横断幕が一際目を引いた。

試合後、朝鮮の選手たちは朝鮮国旗をなびかせながらグラウンドを一周。応援してくれた人々に何度も手を振って感謝の意を表し、観客席から「祖国統一」の叫びが湧き上がると選手たちも拳をつきあげて声をあげた。また表彰式後には、準決勝で対戦した南の選手たちと肩を組み、和気あいあいとした雰囲気の中で記念撮影に収まっていた。

一方、観客席では南の市民たちが朝鮮選手団に向けて、北南和解を願う熱いメッセージを送り、声を合わせて歌「パンガッスンミダ(お会いできて嬉しいです)」「ウリエソウォヌン、トンイル(我らの願いは統一)」「タシ、マンナプシダ(また会いましょう)」を歌った。

朝鮮の選手、監督は南朝鮮で味わった大会優勝と民族和解への歓喜に酔いしれていた。

FWホ・ウンビョル選手は「(勝利を決定付けるゴールをあげた瞬間)祖国や人民たちに力を与えられたと思い涙が止まらなかった」と振り返り、「今の気持ちは『嬉しい』『幸せだ』という言葉では物足りないくらいの感情で溢れている」と興奮気味に語った。

主将のFWラ・ウンシム選手は「この喜びをなんて表現していいかわからない。これまで本当に多くの困難を経験してきたが、金正恩第一書記が自分たちを温かく見守ってくれ、祖国の人民たちが期待を寄せてくれていると思うと力が沸いてきた。それが私たちの力の源だ」と力強く語った。そして北南和解の雰囲気に触れて「『私たちの家』に帰ってきた気分だった。(南の市民たちや選手たちを)ひとつの家族のように感じることができて気持ちが安らいだ」と笑みを浮かべた。

DFキム・ウンヒャン選手は「体育人として祖国の愛に結果で応えることができて本当に嬉しいし、人民たちに幸せをもたらすことができたと思うと涙が自然と溢れてきた」と感慨に浸りながら、「一日も早く統一して、南の選手たちとひとつのチームで笑いや喜びをともにできるようになれたらどれほど嬉しいか。今後北と南が力を合わせて必ず祖国統一を成し遂げなくてはならないと感じた」と語った。

キム・グァンミン監督は「今回の優勝で朝鮮サッカーを一日も早く世界的な水準に高めようと様々な方策を施してくれる金正恩第一書記の期待に少しばかりか貢献できたと思う。そして『強盛国家』建設へと歩んでいる祖国の人民たちに勝利への確信を与えることができた」と述べ、「北南両応援団の熱烈な声援を聞いて私たちはひとつの民族であると感じた。祖国統一を願う南の市民たちの心を見てとれた」と語った。

(朝鮮新報)