〈女子サッカー〉劇的逆転弾、北南対決を2-1で制す

[`evernote` not found]
Facebook にシェア
LINEで送る

FWホ・ウンビョル選手、2戦連続で決勝点

決勝ゴールを決めたFWホ・ウンビョル選手(写真:盧琴順)
決勝ゴールを決めたFWホ・ウンビョル選手(写真:盧琴順)

【仁川発=李永徳】29日に行われた女子サッカー準決勝では朝鮮と南朝鮮による「北南対決」が実現した。試合は朝鮮が終了間際に劇的な逆転弾を決めて2-1で勝利。10月1日の夜10時から行われる決勝戦では日本と対戦する。

敵陣を突破するFWウィ・ジョンシム選手(写真:盧琴順)
敵陣を突破するFWウィ・ジョンシム選手(写真:盧琴順)

「同胞たちの愛に力をもらった」

試合開始のホイッスルとともにセンターラインで二分された北南朝鮮の選手たちがピッチ上で交わった。

スタンドには「ワンコリア!統一、シュート、ゴールイン」という文字が文字が刻まれた大きな横断幕がなびき、今大会最多の1000人の「北南合同応援団」が駆けつけた。

「統一旗」を振りかざして、かつてない大音量で「統一祖国」「ウリヌンハナダ」を叫ぶ同応援団。一方南朝鮮を応援する南のサポーターたちも多く、両応援団の間で応援合戦が繰り広げられていた。

朝鮮は試合開始から南朝鮮を圧倒したが11分にフリーキックからまさかの失点。しかし早い時間帯でのビハインドが朝鮮のギアをもう一段高めた。

相手を寄せ付けないテンポのボール回し、切り替えの早いプレッシング、当たり負けしないフィジカルの強さで何度も相手ゴールに襲いかかっていった。南朝鮮は完全に後手に回った。

20分にFWウィ・ジョンシム選手がドリブルで中央を駆け抜けゴール右隅に狙いすましたシュートを放つが、ゴールキーパーの見送ったボールは惜しくもバーに直撃。23分にはMFチョン・ミョンファ選手が抑えの利いたシュートを撃つが今度はポストに嫌われた。

そして怒涛の攻めを見せた朝鮮がついにゴールをこじ開けた。

35分、右サイドからゴール前へと送られた低くて早いクロスに MFリ・イェギョン選手が上手く合わせて同点ゴールをもぎとった。

勝ち越しゴールを奪い、抱き合う選手たち(写真:盧琴順)
勝ち越しゴールを奪い、抱き合う選手たち(写真:盧琴順)

後半も両チームの意地と意地がぶつかり合う一進一退の攻防が繰り広げられた。

朝鮮は52分に準々決勝の中国戦で途中出場から決勝弾を決めたホ・ウンビョル選手を、74分にはMF チョン・ユリ選手を投入し勝負を決めにかかる。

しかし中々状況を打開できず時計の針は90分を回った。

表示されたロスタイムの4分も過ぎようとしていたなかで激戦に終止符を打ったのは、準々決勝で殊勲の決勝ゴールをあげていたFWホ・ウンビョル選手だった。

両チームの選手が競り合い大きくクリアされたボールが南朝鮮のディフェンスラインの裏へ抜けた。相手DFがGKにバックパスを送るが、懸命に追走していたFWラ・ウンシム選手が思い切り足を伸ばす。つまさきに当てたシュートは相手GKが防いだが、FWホ・ウンビョル選手がこぼれ球を見逃さず右足でゴールに蹴りこんだ。

前日の男子サッカー準々決勝で朝鮮がロスタイムに決勝弾を決めて勝利したのに続き、この日の夜は女子選手たちが試合終了間際に劇的な逆転弾を叩き込み、歓喜の渦に包まれた。

両手を天高く突き上げるFWホ・ウンビョルのもとに選手たちが駆け寄り、グラウンドに折り重なるようにして喜びを分かち合った。試合終了後、選手たちはすぐさま「南北合同応援団」のもとへと走っていき、90分間をともに戦い抜いた南の市民たちに感謝の気持ちを込めて手を振り続けた。

試合終了後、客席の声援に応える選手たち(写真:盧琴順)
試合終了後、客席の声援に応える選手たち(写真:盧琴順)

そして会場には「両チームの選手たちに激励の拍手をお願いします」というアナウンスが流れ、激闘を終えた北南朝鮮の選手たちに惜しみない拍手が送られた。

逆転ゴールを決めチームの決勝進出の貢献したホ・ウンビョル選手は「本当に嬉しい」と満面の笑みを浮かべながら、南の市民の応援について「同胞たちの愛に力をもらった」と感動に駆られながら語った。

一方、敗戦を喫した南朝鮮のユン・ドギョ監督は「北のサッカーは攻守の切り替えが早かった。それは体力的な準備が万全であることを意味し、それこそが北が世界大会で高い結果を残せている要因だ」と賞賛を送った。

朝鮮のキム・グァンミン監督は失点し「焦りが出た」としながらも、最後までチーム全員が一丸となって走りきれたことで勝利を収めることができたと話した。

また最後まで絶えることのなかった南の応援について「私たちはひとつの民族なんだということを再認識し、南の市民たちの統一に対する熱を感じ取ることができた」と述べ、アジアの強国、日本との対戦については「決勝戦でもこれまでと同じ戦い方で臨むつもりだ」と必勝を誓った。

(朝鮮新報)