ニョメン・オーガナイジング㉖顧問になる日、受け継ぐ想い/文・イラスト=張歩里
2026年09月03日 13:00 ニョメン・オーガナイジング 主要ニュースニョメンレジェンド、委員長卒業
組織には「就任の日」はあっても、「顧問になる日」はそう何度も訪れない。
わが支部大会も無事に終了し、新しい役員が選出され、新たな期がスタートした。

今大会をもって、30代からニョメン活動一筋に歩んでこられたニョメン委員長が、晴れて卒業し顧問に就任された。この連載でもたびたび登場してきた、まさに「ニョメンレジェンド」である。70代となった今でも、支部に住むすべてのオルシンの名前はもちろん、子どもの名前や好物、趣味、経歴まで頭に入っている。その存在感はまさに支部の生き字引。今期の活動も、振り返れば委員長におんぶにだっこだったと言っても過言ではない。
最後の花道を飾ろうと、役員みんなで委員長への感謝の言葉を集めてみた。
ところが、出るわ出るわ、思い出もエピソードも尽きることがなく、泣く泣く削らざるを得ないほどだった。今期だけを振り返っても、何十通もの励ましの手紙、手作りのおにぎり、そして「送るから乗りなさい」と何度車に乗せてもらったことだろう。
若手チームは今期だけでも何度も出産を経験したが、育休が明けるよりも早くニョメン活動へ戻ってこられたのは、実のオモニ以上に身近で支えてくれた委員長の存在があったからだ。
大会当日、役員たちは涙ながらに感謝の言葉を口にした。それぞれが違う土地からこの地域に集まり、それぞれの人生を歩み、気づけばニョメン活動に片足を突っ込み、今ではすっかりどっぷり浸かっている。その一人ひとりの歩みのそばには、いつも委員長がいた。
委員長、本当にお疲れさまでした。そして、コマプスムニダ!
「居たい場所」が人を育てる
見渡せば、今期もまた残った仲間たちがいる。気づけば4期、5期目を迎えた分会役員も少なくない。子育てが始まったばかりと思っていた先輩は、今では子どもが社会人となり、結婚して巣立つまでを見届けている。そんな未来は、今の自分にはまだ想像もつかない。もちろん、続けるかどうか悩む人だっている。人生には転職、介護、家族との別れ…さまざまな分岐点があるのだから。
この間、委員長が一人ひとりの役員と向き合い、ときには粘り強く説得する姿を何度も目にしてきた。時間にも、お金にも余裕がある人ばかりではない。「自分の代わりなんて、いくらでもいる」と口にしたくなることもあるだろう。「家庭より優先すべきことなのか」と問いかけられる場面だって少なくない。
若い頃は「遠く」を見ることが格好よく思えた。しかし年齢を重ね、「足元」の現実を見るようになると、人の心は揺らぐ。そんな時、委員長は決して大きな理想だけを語らなかった。目の前の相手の手をしっかり握り、「何かあったら全部私のせいにしていい」と言いながら、ちゃんと「逃げ道」まで用意してくれる。その包容力があったからこそ、一つのチームができ、人が育ってきたのだと思う。
学校教育が終わっても、人は育つ。義務感から「居なければならない場所」だったものが、安心して「居られる場所」へと変わる。そしていつしか、自分から「居たい場所」になっていく。もし私たちのニョメン活動が、そんな場所をつくれているのだとしたら、そこでは必ず人が育っている。
わがニョメンレジェンドは、そのことを身をもって教えてくれた。最後まで、人を育てることのお手本であり続けたのである。だからこそ、委員長は「顧問」になったのだと思う。
顧問、第2章の始まり
では、「顧問」とは何だろうか。
企業や団体でいう「顧問」とは、豊富な知識や経験を生かして助言を行い、必要に応じて組織を支える存在だという。実務を執行するというよりも、精神的な支柱であり、アドバイザーとして組織を支える役割である。
しかし、わが支部にとって「顧問」という言葉は、それだけでは語り尽くせない。委員長という肩書は卒業しても、人を育てる仕事に卒業はない。役職を離れても、人生の先輩として寄り添い、必要なときにはそっと背中を押し、迷ったときには進むべき道を照らしてくれる。その存在こそが、私たちにとっての顧問なのである。
わが支部にとって「顧問」とは、一つの役職ではなく、長い年月をかけて築き上げてきた信頼そのものなのだと思う。これからは私たちが前を歩く番である。しかし、ふと振り返れば、いつものように笑顔で見守ってくれる人がいる。その安心感があるからこそ、私たちは新しい一歩を踏み出すことができる。
今度は私たちが、誰かにとっての「居たい場所」をつくる番である。ニョメンレジェンド、第2章の始まりである。
(関東地方女性同盟員)
※オーガナイジングとは、仲間を集め、物語を語り、多くの人々が共に行動することで社会に変化を起こすこと。新時代の女性同盟の活動内容と方式を読者と共に模索します。
ニョメン・オーガナイジング㉕そのかっこよさの正体/文・イラスト=張歩里
ニョメン・オーガナイジング㉔負けるな!拳に込めた合言葉/文・イラスト=張歩里
ニョメン・オーガナイジング㉓つながりを、もう一度/文・イラスト=張歩里