互いを知り、広がった視野/朝大と島根県立大学が交流
2026年08月04日 13:00 主要ニュース朝鮮大学校(朝大)と島根県立大学(県大)の学生交流が8月1~3日、島根県浜田市と広島県広島市で行われた。今年6月に県大生が朝大を訪れたのに続き、今回は朝大生が島根に足を運び、交流を深めた。
両大学の交流は2020年、朝大の宋修日教授が県大で授業を行うようになったことをきっかけに始まった。コロナ禍でのオンライン交流を経て、22年9月には県大生が朝大を訪問。その後、互いの大学を訪れる形で交流を続けてきた。
宋教授と共に交流継続に尽力してきた県大国際関係学部の福原裕二教授によると、両校には交流後も連絡を取り合う学生がいるほか、県大では、朝鮮学校と地域社会との関係や歴史教科書、在日朝鮮人の文化などを卒業研究のテーマに選ぶ学生が生まれるなど、交流をきっかけに芽生えた関心が継続的な学びへとつながっている。県大側の参加者も、当初の10人に満たない規模から年々増え、今回は30人を超えた。
両大学の学生たちは初日目、浜田市で石見焼作りを体験し、地域の夏まつりに参加。2日目は県大のキャンパスで論文発表などを行った。朝大からは、広島初中高出身である文学歴史学部3年の兪倡妗さんが、在朝被爆者に対する日本政府の差別的対応について発表。質疑応答では活発に意見が交わされた。その後の食事会では親睦がいっそう深められた。
最終日は広島初中高を訪問。同校教員から同校の歩みについて説明を受けたほか、校内見学や朝鮮語の授業を通じて民族教育への理解を深めた。また、多極化する世界における朝鮮の位置づけをテーマにした講演も行われた。
それぞれに生まれた変化
県大国際関係コース3年の内山晶太さんは、今年6月に初めて朝大を訪れた。自分が知る環境との違いに最初こそ驚いたが、朝大生の温かい歓待を受け、距離はすぐに縮まったという。
今回、朝大生との再会を楽しみにしていたと話す内山さんは、「育ってきた背景やアイデンティティーは異なっても、何気ない話をしながら楽しい時間を共有できた」と振り返り、「こうした交流や再会をこれからも続けていきたい」と語った。
同コース4年の足立海凪さんと安部日菜子さんは、昨年に続いて2度目の参加となった。
広島県出身の安部さんは、以前は地元に朝鮮学校があること自体知らなかったという。しかし、実際に学校を訪れ、「自分が目を向けていなかっただけだった」と気づかされた。今回の交流では、今年朝鮮を訪問した朝大生の話を聞き、日本で伝えられる情報とは異なる社会の一面に触れた。「批判する人の中には偏った情報だけで判断している人も多い。そうならないように学びたい」と話した。
安部さんは今回、チマ・チョゴリ切り裂き事件など在日朝鮮人が受けてきた差別の実態を知った。「無関心でいることが一番よくない。知ろうとする姿勢を持ち、実際に交流することが大事」と強調。朝鮮の民謡など文化的な側面についても関心が広がったとし、「これから社会で出会う人たちとも、偏見を持たずに接していきたい」と今後への思いを述べた。
同コース3年の西原莉絵さんは、2年前に初めて朝大との交流に参加した。当時は朝大生に日本語が通じることにすら驚いた一方、自分自身がステレオタイプにとらわれていたことに気づいたという。その後、米国留学期間に多様な文化や価値観への理解を深める取り組みに触れる中で、異なる立場の人々を知る機会を積極的につくることの重要性を感じた。
西原さんは、「凝り固まった視点を取り払い、相手の歴史や文化、価値観を踏まえたうえで議論することが大切」と指摘。政治的な対立を乗り越えるうえでも、草の根の交流が重要だと考えている。
中国・吉林省出身の朝鮮族で、県大に留学中の金秀珍さん(同コース1年)は、朝大生の言葉や姿から伝わる民族的アイデンティティーの強さに心を動かされた。
自身も、「朝鮮」のルーツをどう受け止めるか悩んだことがあったという。「朝大生と触れ合う中で、自分も民族に誇りを持って生きていいのだと思えた」。今回の交流は、自らのルーツを肯定的に捉え直し、ありのままの自分として歩んでいく決意を深める機会となった。
一方、朝大文学歴史学部3年の文涼誠さんは、今年6月の県大生との初交流をきっかけに、互いの学びや問題意識について語り合う意義を感じたという。今回の再会では、前回よりも踏み込んだ意見を交わし、学生同士のつながりを継続して深めることの重要性を実感した。文さんは「大学が設けた場を出発点に、今後は朝・日の大学生が主体となり、交流の幅を広げていく取り組みも行ってみたい」と意欲を示した。
(李永徳)






〈私が見たウリハッキョ〉交流の「正解」を求めて/島根県立大学国際関係学部・福原裕二教授