〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです!69〉外国人を雇用する際の注意点
2026年05月19日 09:00 寄稿1.特定技能「外食業分野」における受け入れ一時停止
外食業分野における特定技能1号の在留者数が、本年5月頃に受入れ上限(5万人)を超える見込みとなりました。これを受け、出入国在留管理庁は、26年4月13日以降に受理される「外食業分野」の在留資格認定証明書交付申請および変更申請を不交付(受付一時停止)とする措置を発表しました。外食業で採用を予定されている企業は、今後の動向に十分ご注意ください。
2.「技・人・国」ビザに追加書類
Q 「技・人・国」ビザの必要書類が追加されたそうですが。
A 26年4月15日以降の申請から、上場企業ではなく源泉徴収額が1千万円に満たない一般企業が該当する「カテゴリー3」または新設企業や個人事業主が該当する「カテゴリー4」の企業において、就労(技術・人文知識・国際業務)ビザの必要書類が追加されました。
翻訳・通訳などの「国際業務」やホテルフロント等の「接客」など、主に言語能力を用いた業務で外国人を雇用する場合、以下の2つの書類が追加で必要になりました。
- 所属機関の代表者に関する申告書
- 「CEFR・B2相当」の言語能力を証明する資料
特に①の「申告書」は、会社の代表者が以下の内容を誓約(約束)する非常に重い書類です。
・申請人の業務内容が、虚偽でないこと
・技人国ビザで認められない「単純作業」に従事させないこと
・入管庁が行う実地調査や事情聴取に協力すること
➁の「CEFR・B2相当の日本語能力がある」とみなされる具体例としては
・JLPT(日本語能力試験)で N2以上 に合格していること
・BJTビジネス日本語能力テストで400点以上 を取得していること
・日本の大学、高等専門学校、専門学校を卒業・修了していること
・日本の義務教育を修了し、日本の高校を卒業していること
・中長期在留者として日本に20年以上在留していること
以上のいずれかに当てはまれば条件クリアとなります。
Q すでに雇用している従業員(更新)への影響はどうなるのでしょうか?
A 提出が必要な場合と不要な場合があります。
提出が必要な場合は新規採用、転職者の受け入れ、社内異動時新しくビザを取得・変更する場合や、すでに在留中の方が「転職」や「配置転換」によって新たに通訳・接客などの言語業務に就く場合は提出が必要です。
提出が不要な場合は、これまでと同じ業務を続ける場合(単純な更新)や以前から継続して同じ業務を行っている従業員のビザ更新時には、原則として提出は不要です。
また、これまで「管理業務」等の名目で黙認されてきたグレーゾーンの運用は、今後一切通用しなくなります。
Q 万一、適正な要件を満たさずに就労させた(してしまった)場合、雇用している従業員(更新)への影響はどうなるのでしょうか?
A 企業側のリスクとして、不法就労助長罪に問われ、今後の外国人の受入れが停止・不可となります。また、外国人個人のリスクとして将来の永住申請や帰化申請時に悪影響となり、不法就労となり、在留資 格が取消し(帰国)となる可能性が高くなります。
Q 注意点などについて教えてください。
A 企業と外国人スタッフの双方を守るため、絶対に知っておくべき「就労(技術・人文知識・国際業務)の3つの絶対条件」と「各業界の厳格化の現状」について解説いたします。
まず、就労(技術・人文知識・国際業務)の3つの絶対条件のポイントは
①在留資格該当性(何をするか?)
大学などで学んだ「学術的素養を必要とする業務」であることが絶対です。
「人手不足だから」と、製造業のライン作業、ホテルの客室清掃、飲食店のホール接客などの「単純労働(現業)」を兼務させると、該当性がないとして不許可になるのはもちろん、明確な「不法就労」となります。
➁上陸許可基準適合性(誰が・いくらで?)
本人の学歴や職歴(専攻科目と業務の関連性)が審査されます(日本人と同等以上の報酬額も必須要件です)。大卒の場合は専攻科目と業務の関連性が「広く柔軟に」判断されるのに対し、専門学校卒(専門士)の場合は極めて厳しく審査されます。
③ 相当性(過去の在留態度)
外国人本人の「これまでの日本での在留態度」が問われます。
留学生時代の「資格外活動違反(週28時間以上のオーバーワーク)」や出席率の不良、税金や社会保険料の滞納がある場合は不許可のリスクが高まります。
次に、「うちの会社の業務内容は本当に大丈夫なのか?」と心配されている方もおられると思いますので、 今回の厳格化で特に注意が必要な業界(および派遣利用)の実態と対策について、業種別に簡単にまとめました。
飲食店の厳格化については「店舗マネジメント」名目での調理・接客の常態化はNGです。ホテル業の厳格化については「通訳」名目での清掃や配膳業務の兼務は認められません。
派遣会社・派遣先の厳格化については「派遣会社に丸投げ」は危険!派遣先も不法就労助長罪に問われます。製造業の厳格化については「生産管理」名目でのライン作業・目視検査は一切認められません。建設業の厳格化について「施工管理」名目での現場作業や資材運びは不許可・罰則の対象となります。
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以上のように、これからの入管審査では、書類上の名目だけでなく、現場での「実地調査」が格段に増えることが予想されます。 過去の申告記録との些細な矛盾や、安易な現業への配置は、企業側・外国人側の双方に致命的なダメージをもたらします。 次回の更新時期を待たずに、今すぐ社内の外国人従業員の「実際の業務実態」の棚卸しを強くお勧めします。
センターには外国人雇用や就労ビザに詳しい行政書士などの専門家がいますので、お気軽にセンターまでお問合せください。
金利和(行政書士、すばる国際行政書士事務所代表、同胞法律・生活センター相談員)