TODAY 2026年 09月 06日

ニョメン・オーガナイジング㉓つながりを、もう一度/文・イラスト=張歩里

2026年04月26日 09:52 ニョメン・オーガナイジング

つながりが途切れたその先で

最近、ニョメン会議で紹介されたある地域の一つの実践が、じわじわくる。それは、「日本学校に子どもを通わせる保護者」を対象にした、小さなトークカフェの取り組みだ。

この地域では、これまでオンマオリニサークルなどを通じてつながっていたオモニたちが、子どもの進学を機に少しずつウリハッキョのコミュニティから離れていく現実があった。とくに、朝鮮学校が近くにない、あるいは通学距離が長いといった事情を抱える家庭では、日本学校を選ばざるを得ないケースも少なくない。気づけば、ニョメン活動の現場は「いつも同じ顔、同じメンバー」。イベントを企画しようにも人が集まらず、地域によっては活動そのものの継続が難しくなりつつあった。

「このままでいいのだろうか」

そんな問いから、今回のトークカフェはスタートしたという。

役員たちはまず、朝青の力を借り、「学生会」とのつながりを手がかりに、その保護者へ連絡を取ることから始めた。名簿に並ぶ名前は、どれもどこか懐かしいものだった。とはいえ、数年も連絡を取っていなかった相手に声をかけるのは簡単ではない。

「今さらどう思われるだろう」「もう距離を置かれているかもしれない」

そんな迷いや不安もあったはずだ。それでも、「もう一度、声をかけてみよう」という小さな勇気と、つながり直したいという思いが背中を押した。

思い切って連絡をしてみたところ返ってきたのは、予想を裏切る反応だった。「久しぶりに連絡をもらえてうれしい」「実は誰にも話せずにいたことがあって」といった声が、少しずつ届き始めたのだ。

こうして開かれたトークカフェは、本当に小さな集まりだった。参加者は決して多くはない。それでも、その場にはこれまで言葉にできなかった思いが、自然とあふれていったという。

「日本の学校に通わせているけれど、この子にどうやって民族のルーツを伝えればいいのか分からない」

あるオモニがぽつりと語ると、別のオモニが静かにうなずき、言葉を重ねる。

誰かが明確な答えを持っているわけではない。それでも、「同じように悩んでいる人がいる」と知ること自体が、大きな支えになっていく。まさに、新たな繋がりがそこに生まれていた。

広がる支え合いのかたち

こうした悩みを抱えているのは、この地域だけではない。

近年、日本各地で同じような課題に向き合う取り組みが続けられている。

例えば、毎年春に開催される「青商会学園」。ここには、朝鮮学校が近くにない、あるいは通うことが難しい環境にいる子どもたちが集まる。普段は周囲に同胞が少ない子どもたちにとって、「同じルーツを持つ仲間がこんなにいる」という実感は、何にも代えがたい経験になる。その出会いは一過性のものではない。子どもたちは地域に戻った後も、土曜児童教室やオンラインのウリマル教室などを通じて、言葉や文化への学びを続けていく。

また、朝青がサポートする「学生会」の存在も大きい。

長い歴史を持つこれらの団体は、日本学校に通う子どもたちにとって、仲間と出会い、自分自身を見つめ直す貴重な場となっている。朝鮮の言葉や歌、文化、歴史に触れながら、「自分は何者か」という問いに向き合い、「朝鮮人である自分」に少しずつ自信を持てるようになっていく。

青商会、留学同、朝鮮大学校、女性同盟といった多様な主体が連携しながら、子どもたち一人ひとりを支えるネットワークが築かれつつある。

もう一度、輪をつくり直す

こうした流れの中で、今回のトークカフェが持つ意味は決して小さくない。それは、「もう一度つながり直すことができる」という実感を示してくれたからだ。

ウリハッキョに通っているかどうか、どの道を選んだか――それによって分断されるのではなく、それぞれの状況や選択を尊重しながら、もう一度輪をつくり直していく。

大きなイベントでなくてもいい。人数が多くなくてもいい。大切なのは、安心して本音を語れる場所があること。そして、「一人じゃない」と感じられることだ。

小さなマダンに集まったオモニたちの語り合いは、静かだけれど確かな手応えを残した。

そこで生まれたつながりが、やがて子どもたちの背中をそっと押し、学生会や留学同といった新たな場へと導いていく――そんな循環が各地に広がっていくことを願わずにはいられない。こうした小さな試みは、これから少しずつ広がっていくだろう。その積み重ねが、在日同胞の未来を支える大きな土台になっていくに違いない。

(関東地方女性同盟員)

※オーガナイジングとは、仲間を集め、物語を語り、多くの人々が共に行動することで社会に変化を起こすこと。新時代の女性同盟の活動内容と方式を読者と共に模索します。

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