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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 53〉根っこを探し、真っ暗闇を走れ/森崎和江③(追記)

2023年03月17日 11:00 寄稿

昨年6月に亡くなった森崎和江のことを以前本欄で書いたが、先月森崎その人をモデルに創作された劇団椿組の新春公演「まっくらやみ・女の筑豊(やま)」が新宿で上演された。その感想を綴りたい。

劇団椿組2023年春公演「まっくらやみ・女の筑豊」フライヤー

1958年、若い男女(和子・健/それぞれ森崎和江と、詩人・谷川雁がモデル)が筑豊の炭鉱町に住みつき、人々に文芸サークルへの参加を呼びかける。石炭から石油へのエネルギー政策転換と合理化に対し、全国で労働争議が激化した時代、健は若者たちに新しい運動を呼びかける一方、和子はかつて明治、大正と坑内労働者だった女性の語りを記録する。森崎のノンフィクション「まっくら」や上野英信「追われゆく坑夫たち」、谷川雁「工作者宣言」など複数の著作を基に、筑豊炭鉱における女と男の協働、共闘と、その困難さ、対立を、いくつもの時空をまたぎながら、生き生きと、かつ今日の状況への問題提起とともに描いた。

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