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金剛山/康瑛蘭

2022年09月26日 09:00 それぞれの四季 論説・コラム

この時期になると、祖国で過ごした日々を思い出す。

2018年9月末、金剛山を訪れた。

大学3年だった当時、祖国講習の日々を平壌で送っていた私たちは「朝青愛国号」に約3時間半ゆられ、元山で宿泊した。翌日、元山から海辺沿いを南方面に100キロほど下り、金剛山にたどり着いた。

金剛山の綺麗な景色と空気は、心を芯から癒してくれた。

絶景のひとつ「玉流洞渓谷」、「九龍の滝」。そして「金剛山仙女」の伝説が生まれた八つの淵「上八澤」。頂上の「昆盧峰(ピロボン)」からは、息をのむような美しい景色を堪能できた。

しかし、岩山を登るのは思った以上に過酷だった。往復4時間、登って降りた達成感をクラスのみんなで分かち合いながらおにぎりを食べた時間は、格別な思い出として残っている。

金剛山がなぜ「ダイヤモンドのように輝く山」と呼ばれるのか。祖国講習で体感できた。

こうして、あの日々の写真や日記を振り返っていると、祖国のすべてがとても恋しくなる。今にでもまた行きたい。そんなことを思いながら、今日もウリノレ(朝鮮の歌)を聞いて力を出している。

ともに過ごしたクラスのみんなは、当時のことを鮮明に覚えているだろうか。未だ祖国に行けない状況が続くが、3年前に感じた力を糧に、各地で奮闘していきたい。

(東京都日野市在住、団体職員)

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