公式アカウント

強対強局面で強行される米南合同軍事演習

2022年07月30日 11:25 対外・国際

時計の針を一触即発の時点に戻す愚行

8月22日から大規模な米南合同軍事演習が実施されるという。「北への侵攻」シナリオに沿って兵器と兵力を動員し、「費用がかかるウォーゲーム」(トランプ前大統領)を行うのは、朝鮮の核武力強化に怯える米国が、「北との対決」を叫ぶソウルの執権勢力(尹錫悦政権)を抱き込み、虚勢を張っているに過ぎないという指摘もある。ところが、朝米対決が強対強の原則でエスカレートする局面で、実戦さながらの軍事挑発を行うことは、核戦争の導火線を目前にして危険な火遊びをするようなものだ。

北侵戦争シナリオに基づく合同軍事演習が続けられている

守られなかった約束

米国のトランプ前大統領は、シンガポール朝米首脳会談(2018年6月)で合同軍事演習の中止を直接公約し、板門店で金正恩総書記と再会(2019年6月)した際にも重ねて確約した。しかし、約束は守られなかった。

今年1月、強対強原則の作動させることを決定した朝鮮労働党中央委員会政治局会議は、「米国は朝米首脳会談以後だけでも、自ら中止を公約した合同軍事演習を数百回も繰り広げた」と暴露した。

前任者が交わした約束など、そもそも眼中になかったバイデン政権は、南朝鮮で政権交が交代するやいなや対北軍事圧迫の強化を公式化した。5月に行われたバイデン-尹錫悦会談では朝鮮が自衛のためとする核武力強化を「世界に対する重大な脅威」と断定、▲米国の拡大抑止、すなわち対北先制核攻撃態勢に関する協議の再開、▲合同軍事演習拡大に関する協議の開始、▲米軍の戦略資産展開などを合意した。

合同軍事演習は2010年代に入り、「北の核兵器使用兆候があれば先制打撃」などを核心内容とする「作戦計画5015」の実戦可能性を検証するために行われてきたが、米南は現在、朝鮮の核武力強化に対処した新たな作戦計画の作成を準備しているという。

新たな計画も実戦を想定したものである、すでに今年7月、米軍のステルス戦闘機F-35Aが6機も飛来し、南の空軍と合同訓練を実施した。 F-35Aが朝鮮半島の上空を飛ぶのは、実に4年7ヶ月ぶりだ。 「死の白鳥」と称されるB-1B戦略爆撃機も、朝鮮半島と2時間の距離であるグアム島に配置され、6月から常時、出撃待機態勢を維持している。

米国は対決の度合いを示す時計の針を朝米首脳会談が開かれる前、一触即発の戦争危機がつくられていた時点に戻そうとしている。

戦争防止のための対応措置

8月22日から9月1日まで実施される予定の米南「連合指揮所訓練(CCPT)」は、2018年以前まで毎年上半期に実施された「キー・リゾルブ」と「フォールイーグル」、下半期に実施された「乙支フリーダムガーディアン」など大規模な合同軍事演習を統合して新たな名称をつけたものだ。演習の攻撃性、侵略性は少しも変わらない。

外務省ホームページに掲載された「火遊びをする者は焼死する」

朝米対決は激しさを増している。強大強の局面では、相手が敢行した挑発の強度、対決のレベルに比例した対応措置が予想される。

朝鮮外務省はF-35Aの空中訓練、B-1Bの出動態勢などに言及しながら、「朝鮮半島は、任意の瞬間に戦争が起こり得る極めて危険な情勢下にある」、「現実は、米国の強まる軍事的挑発策動を打ち砕くための国家防衛力を一瞬も滞ることなく強化していくことを求めている」(外務省ホームページ「火遊びをする者は焼死する」7月12日)と明言していた。

戦争を防ぐために朝鮮が米国の軍事的挑発をどのように打ち砕くのか、予断はできない。

朝鮮半島で戦争の危機が指摘されていた2017年8月、朝鮮人民軍は「乙支フリーダムガーディアン」合同軍事演習に対処した武力示威の一環として、中長距離戦略弾道ミサイルの発射訓練を実施した。当時、この訓練は周辺国家の安全に影響も与えずに、米国の軍事挑発の前哨基地を牽制する「意味深長な前奏曲」(朝鮮中央通信)になったと評された。

歳月は流れ、朝鮮の戦争抑止力はさらに強大になった。挑発への対応でも選択の幅が広がった。

朝鮮の揺るぎない平和意志は、今年6月に開かれた党中央委員会総会でも再確認された。会議では「国家の安全環境は非常に深刻であり、周辺情勢はさらに極端に激化する危険性を帯びている」という情勢認識が示された。そして強対強、全面勝負の原則が改めで明らかにされて、「必ず遂行すべき戦闘的課業」が二つの部門、すなわち人民軍など戦闘集団を意味する「共和国武力」と兵器開発などを担う「国防研究部門」にそれぞれ示された。

(金志永)

Facebook にシェア
LINEで送る