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〈歪む社会の目、誰が正すのか〉法廷発言をファクトチェック/ウトロ放火事件

2022年07月06日 10:14 歴史

ウトロ放火事件と関連した裁判で、被告は朝鮮半島と在日朝鮮人に対する偏見に満ちた、根拠不明の発言を述べた。被告の発言から見える矛盾点を検証する。

「ウトロ住民は『不法占拠』」

→ウトロは戦時中、京都飛行場建設に動員された朝鮮人の飯場があった場所。そのような歴史的背景を無視した地権者が住民に土地の明け渡しを求め提訴。2000年の最高裁では住民の立ち退きを命じる不判決が言い渡された。

しかしその後、住民らは地権者側の了解を得てウトロに住んでいるため、不法占拠にはあたらない。

朝鮮人は「コロナ禍で日本国民以上の支援を受けようとしている」

→根拠も実例もない。むしろ日本政府はコロナ禍で困窮する大学生を対象に2020年に創設した「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」の対象から朝鮮大学校生を除外するなど、非常時の「支援」でさえ公平ではなかった。

ネットで差別発言をしてきたのかという検察側の問いに「匿名で発せられたネットの情報に信用できるものはないからしない」と返答

→しかし被告は朝鮮人に対する情報をネット上で集め、鵜呑みにしていたことが供述で明らかになっており、事件の根底にあった差別感情を募らせたのも野放図に広がるネット上のデマが原因だったと弁護側も一様に述べていた。差別発言をするといずれ身元を特定されるかもしれないためネットで発信はしないが、都合のいい

情報は得るという姿勢が垣間見れる。

犯行の理由「コロナ禍で失職し、憂さ晴らしをしたかった」

→犯行の理由として成立しない。被告は朝鮮人に対し差別感情があったことを認めている。上記の供述は差別の正当化であり、犯行動機や理由ではない。

(紗)

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