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短編小説「魚のために道をひらこう」33/陳載煥

2022年04月29日 08:00 短編小説

ジュンハは河の真ん中に突っ立って落ち着きはらって魚を見ていたが、連れてきた技手たちと水域の検査を始めた。

そうしているあいだにも、魚はぞくぞく浮き上がった。

ひとまず視察を終えたジュンハは岸へあがり、傲慢な目つきでテソンを見ながら叫んだ。

「原因はほかでもない。私があのとき何と言った? 雪解けによる汚水の流入だ! だから言わんこっちゃない。河での養魚は不可能だとあれほど言ったじゃないか!」

技手たちは技師の判断に異議があるはずもなく、流れる水面をながめているだけだった。

彼は歯ぎしりをしたが、返す言葉もなかった。ただ、雪解け水でかさの増した河を見つめていた。

第1日目の調査は終わった。突発事故の原因は、放し飼いのできない河でニジマスの養魚を始めた、ということであった。

どうしても納得のいかない彼は、夜通しまんじりともしなかった。「雪解けによる汚水の流入?」では雪解け水が流れ込んできたとき、どうして魚はあんなに活気を呈していたのか? 彼は河に出ていった。

翌日も本場から調査のために何人かの人がやってきた。テソンは一晩中、河から帰ってこなかった。彼は明けがた、自然養魚場の上流の一カ所でふと異常なものを発見し、人々が来るまでそこから動かなかったのである。河岸の二つの石灰岩が着物のエリのように合わさっているその間から清水が湧き出ていた。その湧き水は、水面にぷくんぷくんと沸いているように泡を出していた。彼が数日前に見まわったときにはこんな現象は現れていなかった。何か偶発的な変動があったらしい。

「こりゃあ、いったい、なんだろう?」

彼の声を聞きつけた一行が近づいてきた。

「ガスの噴出だ!」

何人かが同時に低く叫んだ。これを見ていたジュンハは、水面から目を離さずに実験手に命じた。

「この水を試験管に入れて分析しなさい」

人々は、5万尾の幼魚を全滅させた原因を突き止めたのである。

「このざまはなんだ! 5万尾の魚を一度に流してしまうとは、アイゴー」

悲痛な面持ちのテソンは、こぶしでわれとわが胸を叩いていたが、いきなり大きな両手で水をすくいあげるとガブガブ飲み干した。

(つづく)

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