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〈ものがたりの中の女性たち 25〉帰らぬ人を待ち続け蛇身に/山寺の尼僧

2019年07月19日 14:09 主要ニュース 文化・歴史

あらすじ

洪宰相がまだ若く官職が低かった頃、山中で雨宿りのため小さな洞窟に入る。洞窟の中には庵があり尼僧が暮らしていた。清楚で美しい 十七、八の尼僧はひとり静かに座っている。なぜひとりなのかと公が問うと、三人で暮らしているが二人は托鉢のため山を降りていると答える。

公は尼僧を気に入り枕を交わすことに。公は某年、某月、某日必ず迎えに来ると約束し、庵を後にする。尼僧はその言葉を信じ待ち続けるが、連絡はこない。待ち焦がれた尼僧はついに病を得てこの世を去る。後に南方節度使になった公は某鎮にいる。

ある日、蜥蜴(とかげ)のような小さな生き物が公の布団の上を這っているので、外に捨てるよう官吏に命じるがそのまま殺してしまう。翌日、小さな蛇が部屋に入ってきたが、また官吏が殺してしまう。ところがその翌晩もまた蛇が入ってくる。公はようやく尼僧の呪いではないかと疑い始めるが、自分自身を過信し部屋に入ってくる蛇を残らず殺してしまおうと決心、官吏にそう命じる。

その日から蛇は毎日現れ、徐々に大きく、長くなり、ついには大蛇になる。公は営内の剣を携えた兵士に部屋の周りの警護を命じる。ところが大蛇はその包囲網をすり抜けて部屋に入ってくる。兵士たちが争うように切り殺したがきりがない。また四方に焚いた薪の中に手あたり次第蛇を放り込む。それでも現れるので、公は蛇を自分の服に包み夜は行李の中に入れて寝室に置き、昼は行李の中に入れたまま居室に置く。辺境に行くときは使用人に行李を担がせ先頭を行かせる。そのうち公は精神を病み、顔色も徐々に青ざめ、ついには病を得てこの世を去る。


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