安重根義士を称えて だれか知らない人間が 立ったまま仮眠のまどろみの中に 一つの駅を発見する。 それは植民地の駅。侵略計画の駅。明治四二年十月二十六日朝はやく はるか灰色の地平線の見えるハルピンの駅頭 [...]…
「昨夜も黒人兵が射殺された」 血痕(ちのり)のあとはまだ消えない 昨夜も黒人兵が射殺された ふつ、ふつ、ふつ、ふつ ふつ、ふつ、ふつ、ふつ コンクリートの声をあげて 彼はたえまなく打っているが 汽笛ひ [...]…
母国語は反抗の武器 親方にどなられると スコップをほおり投げ 仕事をやめて 朝鮮人たちは一カ所にかたまる そして 母国の言葉でさかんにしゃべり出す きっと不平を言いあっているのだろう …
いまも許してはいない 一衣帯水の国じゃないか 少しばかり海を隔てているだけだろう 一足飛びで着いてしまうよ 知人は たやすく 安易に言うが (2連12行略)…
高麗青磁の神秘な青さ 薄命の海をながれる藍よりも さらに淡い器物の青に ひたすらに一日の憂悶を鎖す。 わが祖父たちの奪ったもの、 わが兄弟たちの掠めたもの、 ついに奪いえず、掠めえなかっ [...]…
「かくもデブチンになり」 信じられない話だ 長年ヤマトに巣食っていた 貧乏神の大群が 足早に去った春景色 テレビジョンが映し出す 新聞雑誌が報道する もうあたりまえという顔をして …
死をも恐れぬ強靭な愛国心 おおそれは私を泣かせる、 このわかものを見よ! ぐるぐる巻きに柱にゆわえられ 的のしるしを胸にさげ、 眼かくしの下に、眼に見えぬ天を仰ぎ、 少女のような無心の唇をほころばせ、 [...]…
「この冬、あなたをふかく知った」 加茂大橋の欄干にもたれ 夏の北山をのぞむ (白い闇を抱え)私は帽子をまぶかに 〝死ぬ日まで天を仰ぎ〟と呟く小さな人になる(誰もみない) 遠近法よ 揺らげ. (緑は故郷 [...]…
祖国愛は火となって あの朝鮮のこどもらは わずかな焚火や食料を背にして 折れるほど腰を曲げて 泥濘のみちを追われていた。 住家も樹々も焼けただれた祖国を まるで野良犬のように追われていた。 あのくらい [...]…
ああよい民族 ああよい国朝鮮 鉈豆袖の朝鮮乙女が 胸をおどらせる くねる乙女の全身に にくしみはゆすぶられ つらみはとかされ なつかしみはあふれてくる ああよい民族 よい国朝鮮 鉈豆形の袖から すきと [...]…