〈朝鮮と日本の詩人 96〉松本千鶴
2009年06月29日 00:00
心の海の無数のいかり われらのこころの海には 無数の碇が沈んでいる。 大小さまざまのたたかいの歴史よ。 波しずかなる日 それらひとつびとつの歴史をしらべよ。 いかにひとり言…
〈朝鮮と日本の詩人 93〉井上光晴
2009年06月01日 00:00
「昨夜も黒人兵が射殺された」 血痕(ちのり)のあとはまだ消えない 昨夜も黒人兵が射殺された ふつ、ふつ、ふつ、ふつ ふつ、ふつ、ふつ、ふつ コンクリートの声をあげて 彼はたえまなく打っているが 汽笛ひ…
〈朝鮮と日本の詩人 92〉瀬木真一
2009年05月26日 00:00
母国語は反抗の武器 親方にどなられると スコップをほおり投げ 仕事をやめて 朝鮮人たちは一カ所にかたまる そして 母国の言葉でさかんにしゃべり出す きっと不平を言いあっているのだろう
〈朝鮮と日本の詩人 91〉盤城葦彦
2009年05月18日 00:00
いまも許してはいない 一衣帯水の国じゃないか 少しばかり海を隔てているだけだろう 一足飛びで着いてしまうよ 知人は たやすく 安易に言うが (2連12行略)
〈朝鮮と日本の詩人 90〉中村稔
2009年05月11日 00:00
高麗青磁の神秘な青さ 薄命の海をながれる藍よりも さらに淡い器物の青に ひたすらに一日の憂悶を鎖す。 わが祖父たちの奪ったもの、 わが兄弟たちの掠めたもの、 ついに奪いえず、掠めえなかっ…
〈朝鮮と日本の詩人 89〉大岡信
2009年04月27日 00:00
「かくもデブチンになり」 信じられない話だ 長年ヤマトに巣食っていた 貧乏神の大群が 足早に去った春景色 テレビジョンが映し出す 新聞雑誌が報道する もうあたりまえという顔をして
〈朝鮮と日本の詩人 88〉鹿地亘
2009年04月20日 00:00
死をも恐れぬ強靭な愛国心 おおそれは私を泣かせる、 このわかものを見よ! ぐるぐる巻きに柱にゆわえられ 的のしるしを胸にさげ、 眼かくしの下に、眼に見えぬ天を仰ぎ、 少女のような無心の唇をほころばせ、…