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〈朝鮮と日本の詩人 105〉草鹿外吉

「君を救えぼくらよ」 ソウルの詩人よ きみへの死刑宣告は 世界の詩人へのそれ きみの首にしのびよる絞め縄は 民主主義へのそれである きみのひたいにこらされた銃口は 起爆のときを待つ ぼくらにこらされた…

〈朝鮮と日本の詩人 102〉長田弘

ユッケジャンの食べかた 悲しいときは、熱いスープをつくる。 豚肉、カルビ、胃壁、小腸。 牛モツをきれいに洗って、 水をいっぱい入れた大鍋に放りこむ。 ゆっくりくつくつ煮てスープをとる。 肉が柔かくなっ…

〈朝鮮と日本の詩人 101〉井上俊夫

「従軍慰安婦だったあなたに」 ああ、あなた方の手厳しい告発、あなた方の怨嗟に満ちた声は、純白のチマ・チョゴリに包まれた、老いた肉体の奥深い所から発せられていることは、もはや疑うべくもない。 私たち元・…

〈朝鮮と日本の詩人 100〉柾木恭介

ナパーム弾で焼野原 五月の空に戻ってきた 歌声を飾ろうと 花園を訪ねたあなたを 棍棒で追い出し 植民地支配の武器として名高い スミス・ウィルソン式1917年型拳銃のごつい弾を浴びせたのはだれか &nb…

〈朝鮮と日本の詩人 99〉山田今次

白いチョゴリの少女 ぼくは外套をきたまま肩をすぼめていた。 ちいさな舞台。 少女たちは きちんとちぢまって ならんでいた。 ライトは ぼんやりと まだ位置がきまらない。 白いチョゴリの少女。胸に赤いリ…

〈朝鮮と日本の詩人 98〉堀川正美

北に帰る友への絶唱 底なしの罪のなかで部落の葉緑素はつめたい涙 夜のよこっぱらはバーナーの火でえぐられっぱなし ブルドーザーとクレーンがのたうちながら 民族の魂をさがしつづけた。   異母兄…

〈朝鮮と日本の詩人 97〉吉田欣一

朝鮮の女、毅然たる姿 霜柱の崩れた泥濘の道を 毀れかけた乳母車に ブリキ、鉄屑、壜の破片、紙屑などを満載して 背中で泣き喚く餓鬼をどなりつけ 軒々の塵芥箱を 棒切れでかきまわしてゆく朝鮮の女 人々のさ…