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〈歴史×状況×言葉〉支配者の一員としての自覚は?

「播州平野」に登場する朝鮮人は、解放と帰郷の歓喜に満ちた、ひたすら明るい姿として描かれている。無論それらは解放直後実際に多く見られた事実だったには違いない。だがあくまでも主人公ひろ子の心象内部において…

〈歴史×状況×言葉 34〉宮本百合子(1)/朝鮮人との友情と、描かれない現実と

過日、関東大震災時朝鮮人虐殺90周年を考えるパネルディスカッションにて発言する機会があった。当時の日本人民衆が示した暴力性は今日も変わっていないばかりか、再生産されているという趣旨で話したのだが、発言…

〈歴史×状況×言葉 33〉秋田雨雀

自然人をころし 人人をころす―関東大震災時の朝鮮人虐殺に際し、作家秋田雨雀はこううたった。それからちょうど90年を迎える今日、とりわけ「3.11」後の日本社会の状況を生きている私たちは、あらためて戦慄…

〈歴史×状況×言葉 32〉中野重治(5)

中野重治の、敗戦直後における朝鮮人への同情や親近感、連帯と共闘の意識の一方では、植民地支配者、加害者としての自覚を欠いた、蔑視的な朝鮮人描写が登場していたこと、またそれらはサンフランシスコ条約・日米安…

〈歴史×状況×言葉 31〉中野重治(4)/植民地と講和条約後の日本を同一視!?

安倍内閣が1952年のサンフランシスコ講和条約発効日である4月28日に、「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」を開催すると決定した。沖縄その他を切り捨てながら、かつて「屈辱の日」「売国の日」などとも…

〈歴史×状況×言葉 30〉中野重治(3)/「友情」「連帯」で覆われた加害の歴史

「彼らが私を、やはり兵隊から歸つて行く一人の日本人として、しかし信用していゝ人間として見てくれたことをその時もよろこび今もよろこんでいる」(傍線筆者)―中野重治は「四人の志願兵」において、敗戦直後、故…

〈歴史×状況×言葉 29〉中野重治(2)/「8.15」とらえる「日本人」のねじれ

日本敗戦/朝鮮解放直後の状況下、日本の進歩的知識人中野重治と朝鮮人青年との心の交流を点描した「四人の志願兵」(「民主朝鮮」第9号、1947年3・4月)は、戦争と軍国支配からの「解放」感情の共有のもと、…