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〈取材ノート〉根底の憎悪

在日同胞3世の金竜介弁護士に対し、名前を理由に大量の懲戒請求が行われた。東京高裁は今年5月、これを「人種差別」だと認めた。

これまでも名前を理由に「いろいろ言ってくる人はいた」と金さん。「ただ、そんな人たちは常識のない、人として見下すような人たち」、あるいは「調停委員や検事の差別的な発言が自分に向かってきたこともあった」。でも「知らないんだな、と受け流せた」。

それでも気にかかっていたのだろう。インタビュー終盤にこぼした。

「私って北朝鮮人じゃないよね?」ある日、日本の小学校に送る娘が言った。「誰かに言われたのか」。心配した金さんが何度聞いても答えなかったという。

「北朝鮮人」であってほしくない。幼い子にさえそう感じさせてしまう異常な「今」を作ったのは誰なのか。

植民地の歴史を忘れ、一貫して朝鮮を敵視し続けてきた日本政府の責任があるだろう。それに追従し、面白半分に「異常な北朝鮮像」を作り上げたメディアの責任があるだろう。そしてそれを止められなかった私たち大人の責任があるだろう。いずれにせよ、それで泣いているのは子どもたちだ。

金さんは著書で、懲戒請求問題の根底は「多数派の日本人の持つ韓国人・朝鮮人への憎悪」だと綴っている。その憎悪の中を生きていかなければならない同胞の子どもたちに、どんな言葉をかけてあげれば良いのだろうか。

(孝)