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〈それぞれの四季〉記憶を語り続ける李玉善ハルモニ/ぱんちょんじゃ

2019年11月19日 16:58 コラム

2015年12月「日韓合意」発表に李玉善ハルモニは「私たちを無視した合意は受け入れられない」「欲しいのは謝罪、お金ではない」と憤った。年が明けて来日した車椅子のハルモニを抱きしめると、悲しみと悔しさが伝わってきた。

二年後、「和解癒し財団」のお金ではなく、韓国市民らによる「正義記憶財団」からの支援金を受け取った時、「良かったね」と声をかけると「何がいいもんか」「日本政府がなにもしないのに」と吐き捨てた。

しかし、ハルモニは再び立ち上がった。水曜集会の場に度々駆けつけて発言。ナヌムの家を描くドキュメンタリー映画「回り道」の主人公であり、ナレーターでもあるハルモニは先日川崎市での上映会に来日、マイクを握った。取材陣のインタビューに的確に答えるハルモニは蘇ったようだった。まもなくハルモニを主人公とした「草(プル)」の日本語版が出版される。

1942年16歳でトラックに載せられ中国へ。解放後も置き去りにされ、二度の結婚をしたハルモニの祖国に帰りたいという願いが叶ったのは2000年のことだった。それからずっとナヌムの家の訪問者ばかりか、日本をはじめ海外での証言を重ねた。頭の傷、膝の刀傷を見せ、多くの女性たちの残忍な死をも伝え続けた。それでもやり残したことは多い。決してあきらめない92歳の平和人権活動家だ。

(大阪市在住、日本軍「慰安婦」問題・関西ネット共同代表)

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