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〈取材ノート〉今年の秋も

家を出ると、風が涼しい。一気に秋を感じるようになった。「読書の秋」「食欲の秋」。落ちた銀杏の臭いをかぐ度に心が躍るが、それよりも今年は筆者にとって「幼保の秋」になりそうな臭いが漂っている。

幼保無償化が朝鮮幼稚園を除外したまま始まり、各地の同胞たちが抗議活動を活発に行っている。

先月には18都府県の朝鮮幼稚園の保護者が東京に集まり関係府省を回り要請を行った。

「なんで自分たちは『無料』にならないの?」東京に訪れる前、禹俊実さん(41、兵庫県在住)は息子にそう聞かれたという。「差別を受けているとも言えず、何と答えればよいか分からなかった。なぜなのか教えてほしい」。母親たちはそれぞれに思いをぶつけたが、欲しかった「答え」は返ってこなかった。

帰り道、文科省庁舎内のエレベーターの壁には一枚のポスターが。幼保無償化スタートを知らせる男性を“普通の日本人”であろう子どもたちの笑顔が囲む。上部には「子供が、未来をつくるから」の一文。直前の文科省担当者らの対応を思うと、何とうつろな言葉だろうか。登場人物全員日本人のそのポスターは、政府の姿勢をあまりによく示していた。

高校無償化問題から始まり、約10年。いつまで「無償化、無償化」と騒いでいるのかと首をかしげる人もいるかもしれない。それでも理不尽な差別が続いているのなら、今年の秋も、いつまでも「おかしい、おかしい」と騒ぎ続けたい。

(孝)