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権利獲得運動を新たなステージへ/大阪でMOREフェスタ、無償化連絡会が主催

フィナーレで歌「勝利のその日まで」を合唱する出演者たち

民族教育権をめぐる裁判闘争が大詰めを迎える中、24日に「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」(無償化連絡会・大阪)が主催する「MOREフェスタ(祝祭)2019~子どもたちの学ぶ権利を求めて新たなステージへ~」がクレオ大阪南で行われた。同胞、日本市民ら約420人が参加した今回のイベントは、今後の権利獲得運動について考えを深め、決意を新たにするきっかけとなった。

大阪では民族教育権の保障を求めて2つの裁判が行われてきた。13年1月24日に提訴した高校無償化裁判は17年7月28日の地裁判決で歴史的な勝訴を手にしたが、18年9月27日の高裁判決で1審勝訴を取り消す不当判決が下された。補助金問題をめぐって全国で唯一提訴に踏み切った大阪府・市補助金裁判(12年9月20日提訴)においては1審と2審でともに敗訴。最高裁は昨年11月28日付で朝鮮学園側の上告を棄却した。

補助金裁判の結果が及ぼした影響は小さくない。立ちはだかる国家権力の壁、国や行政の差別を追認する司法を前にして、裁判闘争の先行きに不安を抱く人々もいる。それでも裁判関係者たちは「民族教育の権利を勝ち取る闘いは裁判で終わるわけではない。今できるのは裁判後を見据えて闘いの輪をさらに広げること」(無償化連絡会・大阪の長崎由美子事務局長)と考え、世論喚起のためのイベントを企画しようと決意した。その中心にはオモニたちがいた。

大阪朝高オモニ会

「裁判関連の集会は堅苦しく重たい雰囲気になりがちだけど、より多くの関心を集めて再出発を切るために、明るく楽しい集会にしたかった」と話すのは大阪朝高オモニ会の洪貞淑会長(49)。同会役員の金貴瑛さん(44)は「いくらしんどくても、大阪のおばちゃん根性で開きなおらな。『オモニたちは元気やねんで!』という姿を見せることで、観客たちが『自分らも何かできるんじゃないか』と思ってくれたら」と笑顔を浮かべる。

「子どもたちの学ぶ権利を求めて新たなステージへ」

MOREフェスタのサブタイトルには、勝利の日まで闘いぬく揺るぎない思いがこめられた。

子どもの笑顔と希望のため

1部ではフリージャーナリストの中村一成さんが「歴史にとって、私、私たちは何なのか」と題して講演を行った。

フリーライターの中村一村さん

はじめに京都朝鮮学校襲撃事件や、朝鮮学校への支援活動を標的にした徳島県教組襲撃事件の歴史的勝訴について触れた中村さんは、それらの司法判断を「国側の差別、上からのヘイトスピーチにつなげていきたい」との思いで無償化裁判に携わり始めたと述べ、各地で取材してきた裁判全般を振り返った。

中村さんは、問題の本質である「政治外交的理由によるハ号削除」に言及したのは大阪地裁のみで、他の判決では「規程13条適合性」に落としこんで文科大臣の広範な裁量権を認めるパターンが続いている言及しながら、安倍政権のもとでレイシズムに汚染された司法は裁量の統制を放棄し、立法や行政に何かしらの措置を促す「寸言」すらないと非難。訴訟上の焦点が不指定処分の二つの理由(①規定ハの削除、②規程13条に認めるに至らなかった)の整合性に絞られてくる中、今後は運動の役目が重要性を増してくると述べ、一方で運動過程に拡大した連帯のもとで「制度的レイシズムに対する草の根の抵抗」がさらに生まれていくはずだと語った。

最後に「朝鮮学校は反レイシズム、脱植民地主義の実践であり、無償化裁判は日本の人権闘争の最前線に位置している」と闘いの意義を改めて強調。「過去は変えられないかもしれないが、歴史に恥じない生き方、先人に恥じない生き方をすることで、過去の意味付けは変えられる」と参加者たちにメッセージを送った。

2部では多彩な出演者たちが舞台に上がった。

オープニングを飾ったのは、昨年11月の和歌山初中創立60周年記念式典で反響を呼んだ同校オモニ会の「チャンダンナンタ」。総勢15人がお揃いの赤いシャツに袖を通し、子どもたちへの愛情を乗せた軽快なビートで雰囲気を盛り上げた。

和歌山初中オモニ会の「チャンダンナンタ」

つづいて大阪朝高オモニ会の歌とアピールが披露された。気合いたっぷりのオモニたちはカーテンコールでそれぞれの熱い思いを述べて舞台に登場。在日同胞アカペラ大会「コリハモ」(1月、大阪)にエントリーした際に練習を重ねた「パンダル(半月)」の歌をアカペラで届け、最後に「子どもたちの笑顔と希望のために共に頑張ろう!」とシュプレヒコールを叫んだ。会場からは割れんばかりの歓声と拍手が注がれた。

そのほかにも「大阪朝高声楽部を応援する男声重唱団」が重厚なハーモニーを披露し、大阪朝高の舞踊部と声楽部は民族心を受け継ぐ決意をそれぞれの演目で表現。さらにシンガーソングライターの川口真由美さんが反戦、平和、共生へのメッセージを込めた魂の歌声で圧巻のステージを広げた。

フィナーレは全出演者が舞台上に。観客たちとともに火曜日行動で行われている歌「勝利のその日まで」を合唱し締めくくった。

出演者たちに拍手を送る観客たち

会場から出てきた女性同盟東大阪南支部の顧問たちは開口一番「感動した」と口を揃えた。

「数々の集会に参加してきたが涙を流したのは今回が初めて。闘いにかける思いが萎れかけていたけど、私たちもできることがあるはずだと考えさせられた」とは鄭秀姫さん(73)。金幸子さん(76)、金麗順さん(76)は学校閉鎖令によって日本学校への転向を余儀なくされた過去を思い浮かべながら「闘わずして得られるものはない。そのことを今一度問いかけてくれてありがとう」と語った。

(李永徳)

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