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〈月間平壌レポート 3月〉歓喜に沸く代議員選挙場

2019年03月27日 09:00 主要ニュース 共和国

在日同胞も参加、共に踊る

選挙場となった金策工大。学生らの輪に在日同胞らも飛び込んだ

【平壌発=金淑美】最高人民会議第14期代議員選挙が実施された10日。平壌はさながら名節の雰囲気だった。前回の選挙から5年。ICBM試射成功、並進路線の勝利宣言、北南交流の再開、史上初となる朝米首脳会談の開催…。朝鮮を主軸として多くの変化が起こった。人々は新時代を自らの手で切り開く誇りを胸に選挙に参加し、さらなる奮闘を誓っていた。

金策工大で参加

朝鮮では17歳以上のすべての公民が選挙権・被選挙権を有し、また、朝鮮に滞在中の海外同胞も希望に応じて選挙に参加することができる。今回の選挙で海外同胞らに割り当てられた選挙区は第10号区第39分区で、候補者は金策工業綜合大学の洪瑞憲総長だった。

朝鮮における選挙は、各選挙区の選挙委員会が選出した候補者1人に対して、当該選挙区の有権者が賛成・反対の投票を行う。候補者は過半数以上の賛成票を得た場合に当選することができる。

朝鮮の最高主権機関である最高人民会議の代議員は、海外では国会議員に相当する職務だが、最高人民会議代議員は本業と代議員の業務を兼任するのが特徴だ。大学の総長や工場の支配人、農場員など幅広い層が代議員となる。

午前10時過ぎ、選挙場となった金策工大はフォークダンスを踊る学生たちで賑わいを見せていた。

朝鮮で選挙は日曜に実施され、男性はスーツ、女性はチマ・チョゴリで選挙場へ向かう。正装した老若男女に続いて在日同胞らも投票待ちの列に並んだ。

受付で名前、職業などの身分を確認した後、候補者の名前が書かれた票を受け取り、投票場に入場する。金日成主席と金正日総書記の肖像画が掲げられた部屋の中心には鍵のかかった投票箱があり、その前で一礼をしてから票を投じる。投票箱の上には鉛筆が置いてあり、反対する場合は候補者の名前に線を引いてその意思を示すというシステムだ。

投票する金剛山歌劇団の金成大さん

「生まれて初めて選挙に参加して、朝鮮の海外公民としての誇りを改めて感じた。日本では選挙権がないため認識が希薄だった。朝鮮の選挙は賛成票を投じることで自らの主権を固め、国家建設に邁進する意志を示す。日本のそれとは根本から異なる」と話すのは金剛山歌劇団の金成大さん。投票後は学生たちの輪に飛び込んで共に踊り、喜びを分かち合った。

投票を終えた同胞たちに仰天の知らせが舞い込んだのは、午後3時を過ぎた頃だった。

テレビに金策工大の電子図書館で投票する金正恩委員長の姿が映し出された。選挙区は第10号区第40分区。同胞たちが39分区だったので、真隣りだ。到着の時刻は11時。同胞たちが選挙場を後にしたわずか10〜20分後の出来事だった。

この日、在日同胞やホテルスタッフの間では当然この話題で持ちきりとなった。「金策工大で投票したんですって!? もしかして…」。目を輝かせるホテルスタッフ。しかし好機を逸した筆者はその期待に応えられない。真一文字に口を結び、かぶりを振った。

後日、別の取材で同大を訪ねた際に聞いた話では、金正恩委員長が金策工大に到着した際、図書館前の広場にいた学生たちはそんなこととはつゆ知らず踊り続けていた。委員長が投票場から出てきて初めて気づき、歓喜が沸き起こったという。

昨年の大学創立70周年に次ぐ金正恩委員長の大学訪問を受けて、関係者はこう話していた。「海外同胞が来ることは聞いていたが、まさか委員長がいらっしゃるとは。今、わが大学の教員、学生たちは科学技術の発展と経済建設を牽引する先頭馬車、機関車としての使命を全うすべく情熱を燃やしている」。

朝米交渉の核心

2月27、28日にベトナム・ハノイで開催された第2回朝米首脳会談の結果が国内で報じられたのは今月1日。労働新聞は8日付の論評で会談が合意なしに終わったことを初めて伝えた。

「朝鮮は米国の傲慢な一方的核放棄要求を断固拒否する」。会談後、平壌市民からはそんな声が多く聞かれた。

日本や米国の政界・言論界は、朝鮮の対米交渉における核心が制裁解除にあるとする見方をするが、朝鮮が真に求めているのは経済的援助でも「体制保障」の提供でもない。米国との新たな関係樹立、朝鮮半島の平和体制構築だ。その本質を平壌市民は見極めている。

(朝鮮新報)

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