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一粒一粒、友好親善の種を/第20回日朝教育シンポ、日本人教員の授業

2019年01月24日 14:22 主要ニュース

第20回日朝教育シンポジウム(20日、広島初中高)では昨年のシンポで初めて試みられた日本人教員による授業を実施。初、中、高級部の各学年を対象にして日本語、英語、算数、理科、体育、美術、保健、人権・国際連帯教育など幅広い科目の授業が行われた。

初級部1年生のクラスでは古典落語「寿限無」の授業が行われた

「寿限無寿限無、五劫の擦り切れ、海砂利水魚の水行末、雲来末、風来末、食う寝る処に住む処、…」

古典落語「寿限無」の授業で「自分が一番だ」と言わんばかりに早口言葉のスピードを競う初級部1年生たち。授業をした広島県の小学校教諭は児童たちの姿に目を細めていた。

「朝鮮学校の子どもたちがこんなに明るくて素直だなんて。百聞は一見にしかず。朝鮮学校に来てみないとわからないことが多かった。自分のルーツを大切にして、自国の言葉や文化を習うことがどれだけ大切なことかを改めて気づかされた」

広島県教組の取り組みの一環として30年以上前に朝鮮を訪問したという小学校教諭は、98年に広島県教育委員会が文部省(当時)から是正指導を受けて以降、教育の現場で多文化共生の理念が壊されていったとしながら、「教育の在り方に対する意識を若い教員にどうつないでいくかが課題だ」と語った。

中級部2年生の美術授業では原爆を描いた作品を鑑賞

中級部2年生の美術授業では、原爆が炸裂する瞬間を描いた岡本太郎の作品「明日への神話」が鑑賞されていた。生徒たちは作品から連想することを思い思いに紙に書いて、黒板に貼っていく。

「現代社会への不信感」「権力」「世界は平等じゃない」

教壇に立った三原市立第2中学校の森山洋子さん(59)はそれらの感想を受けて、「人懐こくて、羨ましいくらいに清々しいのに、一方では社会に対する鋭い見方を持っている。日本社会の差別的な風潮がそうさせているのかもしれない」と語った。

広島では2015年から「国際平和」と「友好」をテーマにして朝鮮学校と日本学校、南北朝鮮の児童、生徒による美術展「へいわこども展」が行われてきた。三原市立第2中学校からも作品を出展したが、「今後は児童、生徒たちの交流も行えれば」と森山さん。

「一粒一粒、友好親善の種を蒔いて、豊かな社会へと耕していきたい」

(李永徳)

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