Facebook

SNSで共有

INF条約脱退の波紋

核問題に関する米国の二重基準が露わになった。トランプ大統領は中距離核戦力(INF)全廃条約の破棄を表明した。1987年に米国とソ連が結んだ条約は射程500~5500㎞の地上発射型の弾道・巡航ミサイルの全廃と恒久的破棄を定めたもので、その後の冷戦終結を導いたと評価された。春夏秋冬

▼トランプ大統領はロシアの条約違反や条約に縛られない中国の中距離核ミサイル開発を理由に「米国も兵器開発を進めなければならない」と述べた。威嚇と圧力で朝鮮に核放棄を迫った米国は「核なき世界」を求めていたのではない。米国のINF条約脱退によって核軍拡競争が再開され、アジアにも新型ミサイルが配備される事態になれば、この地域の安全保障環境は厳しさを増す。

▼今年、北南と朝米の首脳合意により朝鮮半島の非核化が共通の目標として掲げられたことの意義を改めて実感する。米・中・ロが核軍拡競争に突入したとしても、朝鮮半島を核兵器と核の脅威がない平和の地にしていくプロセスを止めるわけにはいかない。トランプ大統領自身がそれを約束し、中ロの首脳も非核化合意に賛同した。

▼INFを巡る対立が示すように冷戦後の国際秩序は再編期を迎えているが、もはや朝鮮半島が大国の角逐の場になることはない。パワーゲームの構図が変わった。北南朝鮮は関係国を巻き込みながら、半島をアジアと世界の安全に寄与する平和の発源地に転換させるためのプロセスを始めている。(永)