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〈取材ノート〉流れに身をまかせ

朝鮮民謡に合わせて踊る同胞たちの笑顔は、普段のそれよりうんと輝いて見える。北東北青商会が主催した岩手での朝・日友好親善大野遊会で、東京朝鮮歌舞団が公演を披露した時も同様のことを感じた。そんなシーンが収まった写真を見返しながら、考えた。

異国の地で民族性を守ることは罪であるとでも言わんばかりに、日本という国は絶えず在日朝鮮人を抑圧してきた。民族的アイデンティティーは表層へと浮かび上がろうとすれば差別と蔑視によって押さえつけられ、行き場を求めてただよえども冷たい濁流に飲み込まれる。一度、深淵に沈殿してしまうと掬い上げることはたやすくない。同胞たちが少ない過疎地域においては、なおさらだろう。しかし逆に言えば、「民族」に囲まれて、それが織り成す流れに身を委ねられることが、どれだけ心地いいだろうか。

岩手での野遊会を含め、10日間に3回、東京朝鮮歌舞団が出演するイベントに参加した。西東京の共和国創建70周年記念同胞大夜会に、東京の友人の結婚式。会場に響き渡る旋律に心の奥底から共鳴して、「待ってました」と年配の同胞たちが飛び出し、若者たちがそれに続く。

熱気にあふれる踊りの輪は「お決まり」のパターンかもしれないが、湧き上がる感情をそのままに表現する「自然」な空間であることも確かだろう。芸術文化がもたらす活力を肌で感じながら、ある時は自分も「統一列車」の流れに身を任せてみた。

(徳)