Facebook

SNSで共有

〈取材ノート〉聞いてほしい

脳性マヒにより電動車いすに乗っていた男性の言葉に、はっとした

「あなたの周りにも障害者がいるでしょう。でも、その人たちがどこにいるのか分かりますか」

先月、滋賀初級で行われた「ウリハッキョマダン」でのこと。男性はこう続けた。

「まだ障害者の声が聞かれていない」

思い出したのは普段の通勤のこと。障害者、外国人と思われる人たちをよく目にするが、その人たちがどこで、どんな生活をしているのか分からなかった。

「ウリハッキョマダン」では、在日、ブラジル人、障害者、被差別部落出身など、様々な「違い」を持つ人たちが「ウリハッキョ」で手をつなぎ、輪を成した。思いは同じだろう。「もっと声を聞いてほしい」

同じころ、世間を騒がしたのは中央省庁による障害者雇用水増し問題。実際より3,460人多く雇用しているように見せかけていた。これほど大きな「現実」と「数字」の違いに、誰も気づかなかったのだろうか。

「障害者手帳が必要とは思わなかった」「説明が分かりにくい」。役所の言い訳ばかり聞こえ、当事者である障害者の声があまり聞こえてこない。少数者の意見はいつも聞こえづらい。問題の本当の「問題」は、官の在り方か、社会の在り方か。

「声が聞かれていない」。男性の声が頭に響いた。

(孝)