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〈取材ノート〉「フレーム」を壊す

取材ノート先日、映画「ワンダーランド北朝鮮」を観た。

「平壌行の飛行機に初めて乗ったときは怖かった。北の人は、『顔が赤く、角が生えている』と教育を受けたから」と同作を手掛けたチョ・ソンヒョン監督。撮影のために韓国籍を放棄。ドイツ国籍を取得し、朝鮮に渡った。

「北にも社会があり、人々が住むという当たり前を伝えたかった」という映画は、人々の素朴な日常を映す。何よりも「怖かった」北の人々が、監督にとって「離れがたい同胞」に変わる交流の過程、監督を介して映し出される朝鮮の姿がリアルだった。

上演後のトークショー。学生から大学教授まで、皆「びっくりした」と感想を述べる一方で、一様に投げかけられた「検閲は?」「不利な場面をカットしたのでは」との懐疑的な視線。これが朝鮮の人々のユーモアに笑い、感動の拍手を送った観客の発言なのかとがっかりし、日本の朝鮮を観る固定化された「フレーム」の根深さを痛感した。

上演後、このような感想に監督がどんな思いを抱いたのかを聞くと、「何が不満で、疑問に思うのかを知ることがスタート」と予想外の笑顔。「ドキュメンタリーは、見て、知って、自分で考えるきっかけを与えるものだから」。

固定化されたイメージが破られ、知らなかった姿に向き合う。そこには、当然、疑問や混乱も生まれる。思考停止に陥らず、知り、知らせる努力を絶えず重ねることが、「フレーム」を壊すことに繋がるのだと、監督の言葉に気付かされた。

(宥)