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“歴史教育は統一運動の要”/在米同胞運動家が朝鮮学校を訪問

2017年11月20日 13:57 主要ニュース

朝大の朝鮮問題研究センターの招待で、在米同胞運動家たちが7日から14日まで日本を訪問した。訪問団は滞在中、東京中高、東京第1初中、茨城初中高を訪問。浅草や上野、足尾銅山、日立鉱山などでフィールドワークを行った。13日には、朝鮮大学校で交流会を、午後には国平寺で尹碧巌住職と座談会を行った。日本を訪問した在米同胞運動家たちに話を聞いた。

草の根の統一運動

朝大の張炳泰学長と記念写真を撮る在米同胞運動家たち(写真はすべて朝大の朝鮮問題研究センター提供)

「統一運動が難しいもののように語られる中、誰もが気軽に参加できる草の根運動の形を模索している」と話すのは「Action One Korea(AOK)」のチョン・ヨンジンさん(55)。2013年に発足したAOKは市民による草の根の統一運動としてロサンゼルスに本部を置き活動している。「生活の中の統一運動」をテーマとしたAOKハンカチキャンペーンやSNSを活用した認証ショット運動、歴史教室などを展開する。

チョンさんが、統一運動において重要視するのは、歴史教育だ。「朝鮮半島から米国への第1期移民は、1903年、サトウキビ農場での労働力として、ハワイに渡った移民たちだった。在日1世同胞らも植民地支配下で、日本に強制連行され、労働力として酷使された歴史がある。在米同胞と在日同胞が互いの歴史を知ることで、共感し、連帯の意識を深められるよう、米国の若い世代に向けた歴史教育に力を入れたい」。

朝大の朝鮮歴史博物館を見学する在米同胞運動家たち

在米同胞2世による団体「スバク」に所属するチョン・セフィさん(21)は、今回、初めて日本を訪問した。

「9.11テロ当時、ちょうど小学校に入学したばかりの私は、イラク、イラン、そして朝鮮は悪だとする教育を受けながら育った。コリアンタウンも、『北』ではなく『南』のコリアンタウンと強調し呼んでいた。白人至上主義の米国の社会構造の中、自身が、朝鮮人ということに誇りは持てなかった」

幼い頃から、無意識のうちに内包された祖国の分断構造。米国式の教育を受け育った中で自身のアイデンティティ―を模索するチョンさんに、朝鮮学校の児童・生徒の姿は大きな衝撃と感動を与えた。

チョンさんは「朝鮮学校を訪ね、児童・生徒らの授業や生活を見学する中で、民族の言葉や文化、そして何よりも歴史を学ぶことの重要性を感じた。茨城初中高では学芸会を見学し、児童・生徒たちの生き生きとした表情に、朝鮮人として生きることはどれだけ誇らしいことなのかに気づかされた」とし、「米国で暮らす同年代の同胞たちと正しい歴史観を共有し、若い世代の統一運動の足掛かりにしたい」と語った。

分断の克服を

祖国統一汎民族連合(汎民連)米国本部の中央委員であるリ・ヨンシクさんは、統一運動の現状について「在米同胞の中には、いまだ統一に対する否定的な考えや反共イデオロギーが根深い。とくに朴槿恵政権をはじめとする保守政権下で勢いづいた極右勢力の存在は同胞社会の重大な問題として現れるだろう」と朝鮮半島と同様に二分された在米同胞社会の今を語る。

リさんは、在米同胞運動の未来について、1世、2世の世代間格差を埋めることを重要な課題として上げながらも、「南北分断の克服なしには、同胞社会の発展にも限界がある」と強調する。

フィールドワークの様子

そして南の民衆のキャンドル革命によって登場した文在寅政府については次のように評価した。

「文在寅政府は、民主主義を標榜しているが、統一を否定し、米軍を抱き込む政府は、民主主義政府とは言えない。文大統領は、脱権威主義の自身のスタイルを民主主義と錯覚しているようだ。積弊清算の最たるものが分断の克服である中、『統一のみが民族の生きる道』という意識がない政府に期待を持つことはできないというのが、運動家たちの大方の見方だ」

また昨年、米国で映画「蒼のシンフォニー」の上映会を主催するなど、朝鮮学校を知らせる活動にも尽力するリさんは、今回の訪問で、幼い頃から統一に対する意識を強く持つ朝鮮学校生徒の姿に大きな感銘を受けたという。

「朝鮮学校を訪れると、まるで祖国にいるような気持ちになる。唯一、心苦しいのは、日本政府が朝鮮学校の生徒たちの教育の機会を奪おうと圧力を加えていることだ。厳しい状況下で民族教育を守ろうと頑張っている先生や同胞たちを尊敬している」

リさんは、在米同胞社会で、朝鮮学校を知る運動や訪朝を通して、朝鮮に対する認識が少しずつ変化しているとしながらも、いまだ保守層が多数派を占める状況を指摘。統一運動を拡大するヒントは歴史観を育み自身のルーツを確固たるものにする「民族教育」から探すことができると語った。

(金宥羅)

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